2009年01月19日(月) 02時54分
小沢代表「国民」連呼 自民党は「元気出すしか」(産経新聞)
民主党大会の舞台、東京・芝公園のメルパルク東京には約1200人の党関係者らが集結した。「勝利の美酒を味わっている前夜祭のようだ」。新党日本の田中康夫代表が来賓あいさつでこう語ったが、「これほど熱気にあふれた党大会はかつてなかった」と多くの議員たちも口をそろえた。
・イメージで比較: 同日党大会 麻生自民党vs小沢民主党
「ついに今年、『その時』を迎えた。もはや一刻の猶予もない」
演説に立った小沢代表は政権交代への最後の詰めに挙党態勢で臨むよう鼓舞し言葉を継いだ。「国民の、国民による、国民のための政治を実現する」
15分ほどの演説で小沢氏は、第16代米大統領リンカーンの演説の一節を“転用”するなど「国民」を34回も連呼した。周辺によると、オバマ米次期大統領が20日の就任式でリンカーンが使った聖書を用いて宣誓することを意識した。米国の変革の波を日本にも、という思いがにじむ。
「国民が力を合わせ、新しい国づくりに挑む」…。麻生政権を追い込むほど解散は遠のき、体力的にも息切れしかねない。小沢氏の呼びかけは、ジレンマにある民主党の世論頼みの現実も浮き彫りにした。
来賓の社民党の福島瑞穂党首が、ソマリア沖への自衛隊派遣反対を表明したほか、国民新党の綿貫民輔代表も郵政民営化の見直しで協力を求めるなど、「連立政権」を念頭に注文が相次ぎ、野党共闘への不安も残した。青息吐息の自民党はこうした「民主党の頼りなさ」をあぶり出す方針だ。小沢氏が「政権を担っても期待に応えられなかったら、その次の総選挙で政権から下ろしてください」と“潔さ”を示したのも、次期衆院選まではアキレス腱(けん)を棚上げする戦略の裏返しだ。
「リベラルな話題が多く社民党か共産党の大会かと錯覚した」。保守系議員が大会後にもらした言葉の意味は大きい。
× ×
一方、自民党は東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪で、3400人が参加して華やかに党大会を開いた。だが、来年の党大会も与党として臨めるのか−という危機感を誰もが持つ中での開催だった。
「選挙について(来賓の)公明党や日本経団連の会長から励ましてもらったが、励まされるようじゃあダメ。おれたちが励ます立場にならねばならん」
麻生首相は演説でこう語り、会場から「そうだッ」とのかけ声が飛んだが、「立党以来最大の危機」(運動方針)を現す一幕だった。
首相は演説で明治維新や第二次大戦の敗戦などを乗り越えた日本の体験に再三言及し、「危機に直面したときに常に新しい道が開かれる。それが日本の歴史だ」と語った。内閣支持率が急落し衆院選の劣勢が伝えられる中で、自民党が背水の陣から反転攻勢することを願う言葉に響いた。
首相の景気対策と「消費税増税」へは評価の声がある一方、「予算や経済対策は『通常兵器』だ。もっと国民のハートをわしづかみする議論はないのか。消費税が争点になると選挙は大変だ」(翁長政俊沖縄県連幹事長)との指摘もある。
党大会では都道府県連の青年局代表全員に壇上で決意表明をさせた。
「もうここまでくると、民主党批判よりも、元気を出すことなんだよねえ」
党大会を終え、首相側近の1人はポツリと語った。自民党は危機感を強めているが、この日は「カラ元気」で、党勢拡大に向けたムードを盛り上げるしかなかったようだ。(高木桂一、榊原智)
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