北海道を地盤とする第二地方銀行、北洋銀行(札幌市)を傘下に持つ札幌北洋ホールディングス(同)が、公的資金による資本注入を金融庁に申請する検討をしていることが十八日、分かった。改正金融機能強化法を活用、早ければ二〇〇八年度内に注入を受ける方向で金融庁と調整する。将来に備え資本増強するのが狙いで、注入額は数百億円規模になるとみられる。
金融危機による株価下落や景気悪化で地方の金融機関には資本不足の懸念が高まっている。第二地銀最大手で財務内容が比較的健全な札幌北洋が申請すれば、地銀や第二地銀を中心に、公的資金による資本増強の動きが広がる可能性がある。
金融機関に公的資金が注入されるのは〇六年十二月の豊和銀行(大分市)以来となる。金融機関に予防的に公的資金を注入する改正金融強化法は昨年十二月に成立、貸し出し余力を高めて中小企業への融資を拡大することを目的としている。
札幌北洋の財務の健全性を示す自己資本比率は昨年九月末で9・2%と、国内専業銀行に必要な4%を大きく上回っている。ただ〇九年三月期連結決算は、不良債権処理の拡大などで純損益が二百七十五億円の赤字になる見通しだ。
札幌北洋は株式市場などが依然不安定なことに加え、景気悪化の長期化も想定し、公的資金の活用を検討しているもようだ。自力増資も行って資本増強し、自己資本比率を10%以上に引き上げるとみられる。
改正金融強化法は、資本注入にあたり、原則経営責任を問わないなどの措置を取っているが、経営が悪いとの風評を恐れるなど金融機関側には抵抗感が根強かった。
札幌北洋は同日、「現時点で決定した事実はない」とするコメントを出した。