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2009年01月19日(月) 00時06分

菅井きんの意外な悩みとは…?産経新聞

 「ぼっちゃま!」

 主人公の「おみやさん」こと京都・鴨川東署の資料課長、鳥居勘三郎(渡瀬恒彦)をいつも子供のように扱っている「おたま」は、鳥居家の家政婦で乳母的存在。毎回わずか1分くらいの出番だが、笑いを誘うコミカルな演技を披露している。

 「昔から私は猛牛でねえ。ついついオーバーな演技をしてしまうんですよ。ですから、おたまはちょっと抑えなきゃってね。どうやったらうまくやれるでしょうか」。芸歴約60年を誇る女優の口から意外な言葉が出てきた。

 芝居が好きでたまらなかった。振り返れば、イプセンの「人形の家」などを見て新劇にあこがれ、東大の事務職員を辞めて女優になりたいと父親に告げたときは「女優は美女がやるもんだ。おまえは首をすげ替えてからやれ!」。器量よしではなかったが、黒澤明、川島雄三、成瀬巳喜男ら巨匠の名作映画に多く出演。そして今、最新作「ぼくのおばあちゃん」で、ギネス認定となる世界最高齢映画主演女優を果たした。

 「なんですかねえ。驚いちゃいます。映画はごらんになりました? 女優として50代まではいろいろと欲もありましたが、やりたい役とやれる役は違いますからねえ。今は年中、引退を考えているんですよ。こうやってつえを突きだしてから、もうゆっくりとしか歩けませんし…。引き際は大切です」

 控えめに話すが、実は病気知らずで健康そのもの。「食い気だけはすごいんです。3度の食事をよく咀嚼(そしゃく)して食べています」と笑う。

 家族は、映画プロデューサーだった夫の13回忌を終え、娘と孫が2人ずつ。昨年12月には初のひ孫にも恵まれた。「でも友達が言ってましたけど、ひ孫は孫ほどかわいくないって。ウフフフ」。冗談めかした会話がまた楽しく、サバサバした性格がそのまま伝わってくる。

 撮影の合間には、ドラマの中でのいびり相手である洋子役の櫻井淳子から子供の写真を見せられ、「あらま、かわいい」と仲むつまじい光景も。視聴率も安定し、第6シリーズまで続いている理由は、こんなところにあるのかもしれない。(松本明子)

■菅井きん(すがい・きん)

 大正15年2月28日、東京生まれ。昭和22年に「林檎園日記」で初舞台を踏み、26年「風にそよぐ葦」で映画デビュー。以後コメディーから文芸大作まで幅広いジャンルの作品に出演する。映画「お葬式」で日本アカデミー賞助演女優賞受賞。48年にスタートしたテレビドラマ「必殺」シリーズでは、主人公の中村主水をいびるしゅうとめ役としてなくてはならない存在だった。

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