2009年01月19日(月) 17時20分
トヨタ、異例ともいえる「プリウス新旧モデル併売戦略」 現行モデルの価格引き下げでホンダに対抗(MONEYzine)
自動車販売の国内消費が落ち込む中、トヨタ自動車がハイブリッド車の新型「プリウス」を5月に発売スタートした後も現行モデル車を継続して販売していくことがわかった。
トヨタが同一車種の新旧モデルを併売するのは初めてとなる。この異例ともいえる併売決定の背景には、ハイブリッド技術で競争するライバルのホンダの存在がある。09年5月に販売開始となる新型プリウスは、エンジン排気量を1500ccから1800ccに拡大しながらも燃費性能は1割程度改善し、ガソリン1リットル当たりの走行距離は36〜40キロメートルに達する見通しだ。機能向上にともなって販売価格も200万円台半ばまで上昇するとみられるが、気になるのは2月に先行して発売されるホンダのハイブリッド車「インサイト」の価格。こちらは開発コストがかかるハイブリッド車にもかかわらず200万円を切る価格で発売する予定で、価格を劇的に下げることで現在3%程度にとどまっているハイブリッド車市場そのものを拡大させる意気込みだ。
トヨタの新型プリウスはエンジンを大型化することなどから、現行モデルより価格が高くなってしまうが、この価格差が実際に販売でどのような差になって出るのかは発売してみないとわからない。だが、世界不況の影響で国内の消費が冷え込んでいることから、ユーザーがより低価格商品を購入する傾向があるのはトヨタも否定できず、価格優位性からもし消費者が新型プリウスよりもインサイトを選択すれば、ハイブリッド車のフラグシップモデルとしての地位を築いてきたプリウスが王座からあっけなく陥落することもあり得ない話ではない。
そこでトヨタがとった戦略がプリウスの新旧モデルの併売だ。現行モデルを車内装備を一部簡略化するなどし、233万円(Sスタンダードパッケージ)から200万円前後に引き下げて販売し、低価格のハイブリッド車を求める消費者がホンダに流れるのを防ぐ。
03年に発売された2代目の現行プリウスはモデル末期ながらガソリン価格高騰の追い風もあり08年の国内販売台数は前年比25%増の7万3000台。たしかに新型が販売されても価格さえ下がれば、現行モデルは消費者にとっても魅力的な存在を維持し、しばらくは販売台数を稼ぐことができそうだ。
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