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2009年01月19日(月) 11時35分

「世界最大の自動車市場」から転落 新車販売台数で米国が欧州に抜かれるJ-CASTニュース

 米大手自動車メーカー3社(ビッグ3)の2008年の米新車販売台数のシェアが全体の47.5%となり、初めて50%を割り込んだことが、米調査会社オートデータのまとめで分かった。ビッグ3の販売不振の実態が改めて裏付けられた形だ。また、新車販売の台数は、欧州の年間台数を下回るのは確実な情勢で、これまで「世界最大の自動車市場」と呼ばれてきた米国はその座から転落することになる。

■ビッグ3はそろって2〜3割もの大幅な落ち込み

 08年の米新車販売の全体の台数は、前年比18.0%減の1324万4018台と2ケタの減少だった。1992年(1290万)以来16年ぶりの低水準で、米市場全体が縮小していることを改めて示した。欧州自動車工業会(ACEA)の調べでは、欧州28カ国の08年1〜11月までの新車販売台数は前年同期比7.1%減の約1378万8000台。欧州市場も縮小はしているものの、11月の段階で既に米国の年間台数を上回っており、これまで「世界最大の自動車市場」と呼ばれてきた米国は欧州に逆転されたこととなる。

 米政府から緊急融資を受けたビッグ3の一角、ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは3月までに政府に経営再建計画を提出しなければならず、一段と厳しい局面に陥る可能性も出てきた。

 08年の米国市場がこれほど厳しかった最大の要因は、ビッグ3のちょう落だ。GMは前年比22.6%減の293万3451台。フォード・ モーターは20.1%減の190万7864台、クライスラーは30.0%減の145万3122台で、ビッグ3はそろって2〜3割もの大幅な落ち込みになった。

■「販売台数の回復は再建の要」

 背景には、米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題を発端とした景気悪化と、08年9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破たんで深刻化した金融危機により、新車販売は一気に冷え込んだことがある。特に12月に入ってからの落ち込みは激しく、12月の販売台数ではクライスラーは前年同月比53.1%減と半減。GMも31.0%減、フォードも31.6%減と年間の下落率をいずれも大きく上回った。「年明け以降もいっそう厳しくなる可能性があり、新車市場回復の先が見えない」(業界関係者)との懸念が強まる。

 ビッグ3のおひざ元である米国の新車販売がさらに冷え込めば、ビッグ3の経営再建の行方に影響が及ぶのは必至だ。ビッグ3は政府支援も得て、それぞれ大規模なリストラに動き出したが、「販売台数の回復は再建の要」(業界関係者)であるためだ。GMとクライスラーは、再建計画の前提となる販売見通しの再修正を迫られるのは必至で、3月には政府や米国民が納得できる再建計画を策定できるか否かで再び山場になる可能性がある。


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