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2009年01月18日(日) 06時27分

元従業員数人を聴取 中国公安当局がギョーザ中毒事件で中国新聞

 【北京17日共同=芹田晋一郎】日中両国で被害者が出た中国製ギョーザ中毒事件で、中国の公安当局が昨年六月に中国で起きた事件について、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の工場で当時勤務していた従業員数人に容疑者を絞り込み、昨年秋以降数カ月間にわたって全員の拘束を続け、事情聴取していることが十七日、分かった。中国筋が明らかにした。

 公安当局は、元従業員らの家族も聴取するなど動機面の捜査も並行して進めているが、元従業員らは容疑を否認。毒物混入を立証できる物証はないという。昨年一月末に日本でギョーザから有機リン系殺虫剤メタミドホスが検出されて間もなく一年がたつが、解決までさらに難航する可能性がある。

 公安当局は昨年八月下旬までに、犯行にかかわった可能性がある人物は元従業員九人と判断し、九月には数人にまで絞り込んだ。さらに捜査を進めた結果、この中に犯人がいるのは「九十九パーセント間違いない」(中国筋)として全員を拘束した。

 容疑が固まっていない段階のため、正式な刑事拘束手続きを踏めず、事情聴取のための拘束という形式を取り、拘束期間が切れる度に再拘束して聴取を続けている。中国ではこうした捜査手法がとられることもある。

 だが全員が容疑を否認したため、元従業員らの家族や友人、工場の同僚、自宅周辺の住人らも徹底的に聴取。元従業員らが反日的な行動をとっていなかったかなども調べたが、物証や決定的な動機は見つからなかった。

 公安省は十六日、共同通信に対し「中国の警察はギョーザ事件を極めて重視し、大々的に捜査を行った。事件はさらに捜査中だ」とコメントし、元従業員らの拘束について確認は避けた。

 公安当局は、日本の事件発生後に中国人四人が回収されたギョーザを食べて中毒となった中国側事件を解決することが、日本側事件の解明の鍵になるとみて、日本の事件と合わせて捜査を進めている。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200901180104.html