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2009年01月18日(日) 02時27分

【西松建設裏金】前会長を参考人聴取 工作に関与か産経新聞

 準大手ゼネコン「西松建設」(東京)の外為法違反事件で、東京地検特捜部が同社の前会長(79)から参考人として事情聴取していたことが17日、関係者の話で分かった。前会長は国沢幹雄社長(70)の前任の社長で、会長就任後も「院政」を敷くなど、長期にわたって事実上の経営トップとして「君臨」していた。十数年間で約10億円にのぼった裏金づくりは、前会長の社長就任と前後して始まっており、特捜部は前会長の承認の下、裏金がつくられるようになった疑いもあるとみて、説明を求めたとみられる。

 関係者によると、西松は平成5〜6年に特捜部が摘発したゼネコン汚職事件で、わいろなどとして使われていたゼネコンの使途不明金に対する批判の声が高まったことから、裏金を海外でつくるようになったとされる。

 東南アジアでの工事費を水増しする手口で約10億円の裏金を捻出(ねんしゅつ)。このうち7000万円を18〜19年の間、無届けで国内に持ち込んだとして、元副社長の藤巻恵次容疑者(68)らが逮捕された。

 前会長は昭和28年、西松に入社。常務、専務、副社長を経て、ゼネコン汚職後の平成7年、業界の実力者として知られた故・柴田平氏の後任として、社長に就任した。15年6月に社長の座を国沢社長に譲る一方、代表取締役会長に就任。17年6月に会長は退任したが、会長職に後任を置かず、その後も取締役相談役を19年まで2年間務めた。

 裏金持ち込みの実行役とされる元海外事業部副事業部長、高原和彦容疑者(63)はこれまでの特捜部の調べに対し、「持ち込みは藤巻元副社長の指示だった」と供述。藤巻容疑者も指示したことを認めている。

 関係者は「西松の海外進出を推進したのは前会長と藤巻元副社長で、前会長も裏金工作を知っていたはず。国沢社長も会長がいたころは、ナンバー2にすぎなかった」と証言。裏金は会社上層部の主導でつくられていたとして、特捜部はすでに国沢社長から参考人聴取。前会長からも参考人として事情を聴いていたことが新たに分かった。

 特捜部では裏金工作が会社ぐるみだったと判断、外為法の両罰規定にもとづき、法人としての西松も立件する方針だ。

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