2009年01月18日(日) 02時27分
【政治家の隠れ家はここだ】記録更新のお祝い…だが、本当にめでたいと言えるのか?(産経新聞)
■鉄板焼 ダンテ(東京都港区赤坂)
衆議院赤坂議員宿舎から徒歩4分の距離にある鉄板焼の店。ステーキのほかシーフードなども評判がいい。昼のメニューでは、250グラムもある合い挽き肉を客の目の前の鉄板で焼き上げる「ジャンボハンバーグステーキ定食」も人気がある。TBSが近いため、芸能関係の客も多く、マイケル・ジャクソンが来たこともあるという。
昨年12月15日に、自民党国対に関係の深い議員らがこの店に集まって、大島理森国対委員長の通算在職日数最長記録更新を祝う会が開かれた。大島氏は12月1日に、国対委員長としての在職日数が通算で1128日となり、それまでの第1位だった中川秀直元幹事長の記録を塗り替えている。
この日、集まったのは、河村建夫官房長官、佐田玄一郎元行革担当相、小坂憲次衆院議院運営委員長(元文部科学相)、自民党の村田吉隆国対筆頭副委員長(元国家公安委員長)ら。大島氏はこの席で、「安倍晋三首相、福田康夫首相、麻生太郎首相と、首相は3代代わったが国対委員長は私ひとり」と語ったが、国会での与野党攻防がこれだけ激しい時期に、国対委員長を長く務めることが、本当にめでたいことなのかどうか。大島氏本人も、実はちょっと複雑な心境ではないだろうか。
自民党と旧社会党が2大政党として対峙(たいじ)した55年体制の時代は、国会運営の多くの重要事項が事実上、自民党と社会党の国対委員長の裏取引で決まっていたと言われる。だが、国民から見えないところで、さまざまな“談合”が繰り返される「国対政治」は強い批判を浴びた。
一方、国対委員長をはじめとする国対関係議員、いわゆる「国対族」は与野党に太い人脈を築くことができる上、予算、法案の成立のカギを握っていた。国対委員長ポストは自民党内で権力を握ろうとする議員の登竜門だった。
今でも国対委員長は重要ポストであることは間違いない。ただ、その性格は少し変わってきている。
平成5年の非自民連立による細川護煕内閣発足と6年の自社さ連立の村山富市内閣の発足によって、55年体制が崩壊。国対政治の全盛期も終わった。その後は、与野党が国会の場でガチンコで対決することも多くなり、国対委員長としては、水面下で野党と話をつけるような工作が難しくなってきた。
さらに、19年の参院選での民主党大勝によって、参院では野党が過半数を占める「ねじれ国会」の時代に突入し、与野党の裏取引は成立しにくくなった。国対委員長にとっても、毎日が真剣勝負のようなもので、大島氏が周囲に「早く後進に道を譲りたい…」とぼやいているというのもうなずける話だ。
大島氏は在職日数第1位となったお祝いに、記者団からチャンピオンベルトを贈られた。ベルトは量販店で買ってきたもので、高価なものではない(はっきり言って)安物だったが、大島氏はうれしかったらしい。12月3日に首相公邸で、麻生太郎首相と会食した際に、このベルトを見せて、「私は在任の最長記録第1位になりました。私と同じくらい、首相も在任記録を更新してください」と、首相を励ました。
年が明けて、1月5日に召集された通常国会では、序盤から与野党が激突した。今後も強行採決や空転など山あり谷ありで、国対委員長にとっては苦しい国会になりそうだ。
大島氏は在任記録を今も更新中で、通算1170日を超えたが、記録が続けば続くほど、大島氏にとって苦痛の日々が長く続くことになる。(政治部 五嶋清)
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