2009年01月18日(日) 01時26分
<オバマ氏>就任式へ…リンカーンに重ね「イメージ戦略」(毎日新聞)
【フィラデルフィア(米東部ペンシルベニア州)大治朋子】黒人初の米大統領に就任する民主党のオバマ氏(47)は、ワシントンで20日に行われる就任式のテーマに「自由の新生」を掲げた。第16代大統領リンカーンが南北戦争後期に国家統合を訴えたゲティズバーグ演説(1863年)の一節だ。オバマ氏は国家分断の危機に立ち向かったリンカーンの姿に自らを重ね、課題山積の「新政権」をスタートさせようとしている。
今回の就任式で、オバマ氏は随所にリンカーンのイメージをちりばめている。宣誓で用いる聖書(連邦議会図書館所蔵)は、リンカーンが就任式(1861年)で実際に使ったものだ。式典のテーマも「人民の、人民による、人民のための政府」の名文句で知られる「ゲティズバーグ演説」から引用している。
今年は奴隷解放を宣言したリンカーンの生誕200周年にあたる。オバマ陣営のイメージ戦略の背景には、節目の年に黒人初の米大統領が就任するという歴史的意義を強調する狙いがある。
オバマ氏は側近選びでもリンカーンに倣った。民主党の予備選で争ったバイデン氏(66)を次期副大統領に抜てき。最大のライバルだったヒラリー・クリントン氏(61)を次期国務長官に指名したほか、共和党側からも閣僚級ポストに登用した。大統領選の「宿敵」をあえて閣僚に据えたリンカーンの「チーム・オブ・ライバルズ」の再演とも言われる。
ただ、リンカーンが目指した「融合」のメッセージを活用した大統領は他にもいた。民主党の第32代大統領ルーズベルト(1933〜45年在任)は、リンカーンの演説を積極的に引用したことで知られる。世界恐慌に直面したルーズベルトは、大規模な財政出動を伴うニューディール政策を進めるにあたり、共和党を含め広く支持を集める必要があったためと分析されている。
リンカーンに詳しい歴史研究家のシュワルツ氏は「課題山積のオバマ氏にとって、リンカーンの再来を印象付ける就任式は、最大のイメージ戦略」と話している。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090118-00000005-mai-int