静岡県掛川市が17日、特産の緑茶に糖尿病などの生活習慣病を予防する効果があるか調べる実証試験を始めた。
掛川産緑茶の粉末を12週間にわたって市民に摂取してもらい、予防効果の確認を目指す。行政が主体となる茶の疫学研究は全国的にも珍しいという。
実証試験を実施するのは、市幹部や研究者などでつくる市緑茶活用予防医学研究協議会(会長・戸塚進也市長)。市立総合病院内にある緑茶医療研究センターのセンター長を務める鮫島庸一副院長が、研究代表者として試験を指揮する。
同センターは2005年10月に設立され、掛川特産の緑茶を健康づくりに活用する研究に取り組んでいる。これまで、緑茶がC型慢性肝炎に有効という研究結果を発表している。
今回の試験では、市民から募った被験者60人を2グループに分け、一方には緑茶粉末を1日約6グラム、カプセルに入れて飲んでもらう。もう一方には、偽物の粉末を入れたカプセルを飲んでもらう。
これを12週間続け、開始日と6週間後、試験終了日(12週間後)の3回、血液検査などを行って、肝臓や腎臓の機能、糖代謝など38項目をチェックする。
被験者にはどちらのグループに属しているか知らせず、分析担当者にも検体がどちらのグループのものか分からないようにして、試験の信頼性を高める。
被験者が試験中、毎日カプセルを飲み、いつも飲んでいるお茶やコーヒーなどを絶たつことも重要で、市保健予防課の職員が被験者に電話をかけて確認することにしている。
市は被験者を市広報で募集し、書類審査で100人が選ばれた。うち50人の健康状態を調べる予備検査が17日、市徳育保健センターで行われた。残る50人の予備検査の結果を合わせ被験者を60人に絞り込む。
予防効果が表れやすいように、糖尿病やメタボリックシンドロームの人、その予備軍を選ぶという。
鮫島副院長は「掛川市の平均寿命は男女とも全国平均より長く、老人医療費が低くおさえられているのは、お茶が寄与していると考えられる。今回の試験でデータが得られれば、医療費の削減につながり、日本の医療を変えることになる」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090117-OYT1T00970.htm