東京都は17日、町田市内の「鶴川サナトリウム病院」(日野研一郎院長)で、入院患者と職員の計101人がインフルエンザに集団感染し、77〜100歳の女性患者3人が死亡した、と発表した。都では「これだけの規模の集団感染は異例」としており、感染経路を調べている。
発表などによると、同病院には高齢の認知症患者を中心に448人(17日現在)が入院、職員335人が勤務しており、今月3日、女性職員(24)が最初に発症。6日に患者4人が発症した。その後、感染者が増え続け、肺炎を併発した85歳と100歳の女性患者2人が11日夜に死亡。16日にも77歳の女性患者が亡くなった。
これまでの感染者は患者77人、職員24人で、このうち患者32人と職員2人は発熱が続いている。死亡した3人はいずれもA型インフルエンザだった。
同病院の入院患者の平均年齢は83歳。インフルエンザワクチンの接種率は入院患者が約89%、職員が約92%で、都は「接種率は比較的高い」としている。こうした状況での集団感染について、厚生労働省では「ワクチンはウイルスの感染ではなく増殖を防ぐもの。抵抗力が弱いお年寄りはウイルスの侵入を許しやすく、ワクチンを接種しても若い人に比べ重症化しやすい」としている。また、治療薬「タミフル」の投与で回復した患者が多く、都はタミフルが効くタイプのウイルスとみている。
病院側は7日に町田保健所に報告。都と同保健所は13、14日に立ち入り検査を行い、感染経路のほか、発症者の隔離など病院の対応が十分だったか調査している。都によると、病院側は病棟内の湿度について15%と報告しており、湿度の低さが感染拡大の一因になったと都はみている。病棟内には、加湿器を使わず、ぬれタオルを掛けて対応していた場所もあったという。
同病院では読売新聞の取材に「発症者が出た3日から、職員のマスク着用や、手洗い、うがいの徹底、発症者の隔離など院内のマニュアルに沿った対応は取った」と説明。17日夜に記者会見した日野院長は、集団感染について「患者やご家族におわびを申し上げたい」と謝罪した。また、自身も一時インフルエンザにかかっていたことを明かした。
厚労省によると、今冬のインフルエンザの流行は先月初めから始まっており、ピークは今月末から来月初め頃とみられる。都も今月15日にインフルエンザの流行注意報を発令していた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090117-OYT1T00556.htm