2009年01月18日(日) 22時42分
NY不時着水、奇跡の3分…機長判断の素晴らしさ(読売新聞)
【ニューヨーク=白川義和】USエアウェイズ機がニューヨークのハドソン川に不時着した事故で、米国家運輸安全委員会は17日、チェスレイ・B・サレンバーガー機長(58)ら乗員から聴取を行った。
記者会見で公表された聴取内容から、鳥の群れがエンジンに衝突した衝撃のすさまじさと機長の瞬時の判断の的確さが改めて浮かび上がった。
15日午後3時26分、ラガーディア空港を離陸した際、操縦かんを握っていたのはジェフリー・スキールズ副操縦士(49)だった。離陸から約1分、高度900メートルまで上昇したところで「大きな暗褐色の鳥の群れ」がフロントガラスいっぱいに迫ってきた。
「ドスン」という衝撃音の後、左右両翼下のエンジンは停止し、エンジン音の消えた機内は「図書館のように静まりかえった」(客室乗務員)。鳥や金属の焦げるにおいが立ちこめた。
サレンバーガー機長は直ちに操縦を代わり、スキールズ副操縦士はエンジンの再始動を試みながら、緊急着陸の要領をチェックした。しかし、要領が想定している高度は約1万メートル以上で、高度不足は明白だった。
機長は、ラガーディア空港帰還も近隣のティーターボロ空港への着陸も「高度は低すぎ、速度も遅すぎる」と判断。市街地が周囲に広がる両空港を目指すのは「失敗すれば大惨事になる」と考え、ハドソン川への緊急着水を選んだ。
機長はグライダーの要領で機体を滑空させ、フェリー・ターミナルが眼前にある、救助には最適の場所に緊急着水させた。エンジン停止から着水まで、わずか3分余りだった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090118-00000049-yom-int