2009年01月18日(日) 22時16分
<オバマ次期大統領>「移動式典」220キロ ワシントン着(毎日新聞)
【ウィルミントン(米東部デラウェア州)大治朋子、ボルティモア(同メリーランド州)及川正也】オバマ次期米大統領は17日夜、米独立ゆかりの地、東部ペンシルベニア州フィラデルフィアを起点とする約220キロの「列車の旅」を終え、ワシントンに到着した。途中下車して開催した二つのイベントには、地元や近隣州から計5万人近くが駆けつけた。20日に就任するオバマ氏は「これから毎日、ワシントンであなたたちのために働く」と約束した。
「アメリカの旅が始まったこの(建国の)地を、私たちのワシントンへの旅路の出発点にする」。独立宣言(1776年)が採択されたフィラデルフィアの駅待合室で17日午前、オバマ氏は選挙当時のボランティアら約250人に、大統領就任に向けた「旅路」の始まりを告げた。
会場にいた白人の女子大生、ホルーセックさん(18)は、オバマ氏が米国初の黒人大統領に就任することで「アメリカではどんな人にも平等にチャンスがあることを、世界に示すことができる」と誇らしげに話した。
オバマ氏は家族と共に特別列車で出発。途中、スピードを落として線路際に見送りに訪れた人々の声援に、後部デッキから手を振って応えた。就任式の公式行事はこれまでワシントン中心部で行われることが多く、参加者も献金者らが目立った。オバマ氏は列車の旅を就任式の幕開けと位置付け、より多くの人々に直接語りかけることで「開かれた式典」をアピールした。
ウィルミントンではバイデン次期副大統領らと合流。公開イベントには数千人が集まった。母子2人暮らしのダンダスさん(47)はオバマ氏を尊敬しているという娘(13)と一緒に東部マサチューセッツ州から車で9時間かけて訪れた。「大統領になったら直接姿を見ることは難しい。歴史に残るオバマ氏の姿を娘に見せたかった」
また、ボルティモアで開かれた行事には約4万人が参加。同市の人口の約65%は黒人。聴衆もほとんどが黒人で、口々に「オバマ」を連呼して出迎えた。
オバマ氏は演説で、米英戦争終結(1814年)の転機となったボルティモアの戦いで英海軍を撃退したことに触れ、「国難の克服には新たな独立宣言が必要」と述べ、国民の結束を重ねて求めた。
【ことば】▽米独立宣言▽ 1776年7月4日、英国統治下にあった北米13植民地(現在のニューハンプシャー、マサチューセッツ州など)が独立を宣言した文書。後に第3代大統領に就任するトーマス・ジェファーソンが起草。基本的人権などに関する前文や28カ条の本文などから成る。
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