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2009年01月18日(日) 21時08分

<イスラエル>「一方的停戦」を宣言 ハマスも表明毎日新聞

 【エルサレム前田英司】イスラエルのオルメルト首相は17日夜(日本時間18日未明)、国民向けにテレビ演説し、イスラム原理主義組織ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃の「一方的停戦」を宣言した。イスラエル軍は18日午前2時(同午前9時)、攻撃を一方的に停止したが、約7時間後に少なくとも8発のロケット弾がイスラエル側に撃ち込まれ、軍は発射地点付近を報復空爆した。その後、ハマス側も即時停戦に入ると表明し、ガザ情勢は一応、収束の方向へ動き出したが、完全に沈静化するかどうかは流動的だ。

 ◇イスラエル、宣言の7時間後に空爆

 AFP通信によると、イスラエルの「停戦」後、ガザ各地でがれき下の捜索作業が本格化し、計95体の遺体が収容された。パレスチナ人死者の累計は1300人以上に達した。

 オルメルト首相は演説で、攻撃の目標に掲げたハマスの弱体化を「十二分に達成した」と述べ、勝利を宣言。ガザとエジプトの境界に掘られた武器密輸用の地下トンネルを徹底的に破壊し、多数のハマス戦闘員を殺害したと説明し、「ハマスの軍事力、組織力に大打撃を与えた」と評価した。

 首相はまた、パレスチナ市民が攻撃の巻き添えで死傷したことに遺憾の意を示す一方、惨状を引き起こした原因は「ハマスが作り出した」と強調した。

 イスラエル軍部隊は当面、ガザ地区内に駐留を続け、ガザ境界の封鎖政策も継続する。

 これに対し、ハマスは「武装闘争が敵を一方的な攻撃停止に追い込んだ」との声明を出し、イスラエル軍の侵攻に耐え抜いたと勝利を宣言した。さらに、同軍が撤退するまで1週間の猶予を与えるとし、即時停戦を発表。検問所の開放など封鎖解除をも要求した。

 AFP通信によると、一方的停戦後、ガザ地区で8歳の少女らパレスチナ人2人が、イスラエル軍に撃たれて死亡した。

 イスラエルは12月27日、大規模な空爆で一連のガザ攻撃を開始。今月3日夜からは陸上部隊で地上侵攻を続けた。一方、ロケット弾攻撃などによるイスラエル側の死者は13人となっている。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090118-00000052-mai-int