2009年01月18日(日) 20時50分
ホストとの熱いキス とがめた女性同士が髪を引っ張り…(産経新聞)
髪を引っ張り合う女性同士のささいなけんかが思わぬ事件に発展した。女は理由がわからないまま約2カ月後、突然逮捕された。
女は昨年4月、友人の韓国人女性=当時(31)=の頭を激しく揺さぶり、左椎骨動脈損傷によるくも膜下出血で死亡させたなどとして、傷害致死罪などに問われた韓国人のキム・ミヨン被告(33)。15日、大阪地裁で開かれた公判の被告人質問で「頭を揺さぶってないのに揺さぶったことにされてしまった」と訴えた。
ともに韓国人クラブで働き、大阪・ミナミのマンションで互いに助け合いながら仲良く生活していた2人。けんかのきっかけは、友人がホストの男性と交わした熱いキスだった。
× × ×
法廷に現れたキム被告。紫色のニットの上着に黒いズボン姿。胸のあたりまで伸びたロングヘア。かつて華やかな夜の街を闊歩していたことをうかがわせる整った顔立ちだ。
弁護人「タクシーの中で髪を引っ張り合うけんかをしたことは間違いないですね」
キム被告「はい。お互いの手が互い違いになって、そして髪を引っ張って」
手にハンカチを持ち、うつむいたままのキム被告。タクシーの後部座席で額がぶつかるほど接近した状態で髪を引っ張り合った様子を話し、韓国語の通訳を介しながら被告人質問が続いた。
検察側の冒頭陳述によると、2人は昨年4月22日未明、キム被告が以前交際していた韓国人ホストと3人で焼肉店で食事をした後、ホストが勤務するクラブに移動した。
友人の女性はかなり酔っていたのか、別のホストに寄り添いキスを繰り返した。酔った勢いとはいえ、あまりに「みっともない」と思ったキム被告は腹を立て、何度も注意したがやめなかった。その後に行った韓国料理店での女性の言動も気に入らず、連れて帰ろうとした際、女性が「オーバーステイ(不法残留)。警察。つまらんやつ」などとぼそぼそつぶやくのを聞いて怒りが爆発した。
キム被告は平成13年に一度来日したが、3年後に強制送還。17年に改名して再来日し偽装結婚していたため、女性に侮辱されたと思ったのだ。
タクシーに乗った女性はさらに「警察に行ってみるか」などと挑発。キム被告は女性の髪を両手でつかむと、女性も髪をつかみ、もみ合いになった。
女性の様子が急変したのはマンション前でタクシーを降りた直後。「しんどい。ちょっと休もう」と言い、近くの飲食店前のベンチに座ると間もなく意識を失った。キム被告が寝ていると思って顔を上げようとすると、ベンチの手すりに頭を打って地面に転げ落ちたという。
女性は2日後の24日、搬送先の病院で死亡した。キム被告が逮捕されたのは2カ月余りたった7月初めだった。
× × ×
弁護側は、キム被告が女性の頭を揺さぶっていないのに、「揺すった」とする供述調書には誘導があり、適切な通訳もされなかったと任意性を否定している。
被告人質問は取り調べ状況が中心となった。
弁護人「女性の頭を揺さぶってないですね」
キム被告「はい」
弁護人「検察官に動作を見せて髪を引っ張る様子を見せたのですね」
キム被告「はい」
弁護人「検察官はあなたが示した動作についてなんと」
キム被告「体が揺れたことも『それも(頭を)揺さぶるや』と」
弁護人はさらに警察官の調べについても確認した。
弁護人「南署の警察官に(任意で)事情を聴かれたとき、どんな気持ちでしたか」
キム被告「刑事さんからけんかしたから女性が死んだと言われ、私の責任かと思ったけど、急に頭を揺らしたと言うので、それは違うと言いたかったのに」
弁護人「その後逮捕されたけど、その時の心境は」
キム被告「何がいったいどうなっているのか分からなくて」
検察官の質問も取り調べ状況に集中した。
検察官「弁護士が接見に何度も来ていましたね。どうして(意に反する調書について)相談しなかった」
キム被告「体が揺れたことも頭を揺さぶったことに含まれると言われたので」
検察官「取り調べの検察官が供述調書を作成している途中にも弁護士の接見がありました。その時も揺れたか揺さぶったとか言われていたのではないですか」
キム被告「通訳が『揺れましたか』と言うので『はい』と。その時は揺れると揺さぶるの違いが分かりませんでした」
× × ×
被告人質問に先だって行われた証人尋問では、司法解剖を担当した医師が検察側証人として出廷し、女性の死因などについて証言。病気はあり得ず、外傷性であることを強調した。
血管の損傷は頭を急激に後ろ向きに倒すなどした際に起こる症状と説明。ボクシングで強烈なアッパーカットを受けたような状態で起こりやすく、アルコールを摂取し、筋肉がゆるんでいるときに起こりやすいことを明らかにした。
検察側は、医師の証言に基づき、他に女性が死亡した要因が考えられないと主張。当時、タクシー運転手が途中で急停車したほど車が揺れた事実を重視、キム被告が女性の頭を激しく揺さぶったことは間違いないとしている。
「頭を揺さぶっていない」というキム被告の主張を裁判長がどう判断するかは分からない。ただ、ありふれたけんかが女性の急死を招いたのは、キム被告にとって予想外の事態だったに違いない。あまりの「運の悪さ」にやりきれない思いを抱いた。(津田大資)
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