【エルサレム17日共同=小玉原一郎】イスラエル政府は十七日夜(日本時間十八日未明)、イスラム原理主義組織ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザへの大規模攻撃に関する治安閣議を開く。イスラエルの主要メディアは、オルメルト首相が閣議後に国民向けの声明を発表し、一方的停戦を宣言すると報じた。ガザ情勢は重大局面を迎えた。
停戦宣言は、軍が一定期間ガザ駐留を継続することが前提とみられる。ハマス内部では宣言への対応について見解の相違が出ており、ハマスが攻撃を停止するかは不透明だ。
ロイター通信によると軍は同日、ガザ北部の国連学校を砲撃し子ども二人が死亡。国連施設攻撃が相次ぎ国際社会の停戦圧力は高まっている。イスラエル政府高官はロイターに、同国はハマスとの合意なしにガザへの攻撃を停止する計画だ、と述べた。
イスラエルが一方的な停戦を宣言する方向となったのは、停戦条件をめぐるハマスとの隔たりが埋まらなかったことに加え、停戦合意を結べば「テロ組織」として孤立化を図ってきたハマスを対等な相手として扱うことになり、政治的立場を強めかねないためだ。
イスラエルはこれまでの作戦で「ハマスに新たな攻撃を思いとどまらせるほどの大打撃を与えた」(治安当局)と判断。ハマスが待ち伏せ攻撃を準備する市街地への侵攻は避け、自軍の被害を最小限にとどめ「勝ち逃げ」する戦略ともいえる。
また停戦合意後にハマスが攻撃を再開すれば政府の見通しの甘さが問われかねないが、一方的停戦なら、ハマスの攻撃に再反撃するフリーハンドを残すことができる。
エジプトの停戦調停は、ハマスが軍の即時撤退などを主張したため難航。イスラエルは停戦の第一条件としていたガザへの武器密輸防止策について、米国主導の国際的な態勢づくりで合意し、訪米したリブニ外相が十六日、米国との覚書に調印。ハマスの対応にかかわらず攻撃を停止できると判断したもようだ。