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2009年01月18日(日) 17時39分

ずさん運航で勧告へ イージス艦審判、22日に裁決中国新聞

 海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故の海難審判で、横浜地方海難審判所(織戸孝治おりと・たかはる審判長)は二十二日、刑事裁判の「判決」に相当する裁決を言い渡す。

 審判では、あたごのずさんな航行実態が次々と明らかにされ、審判所は、安全運航の徹底を求める「勧告」を、被告に当たる海自側の「指定海難関係人」に出す見通し。組織責任にどう言及するかが最大の焦点。検察官に当たる審判所の理事官側は「あたごに主因がある」と主張し、海自側は「主因は漁船」と反論、原因についての判断も注目される。

 海自組織へ勧告すれば、一九八八年に発生した海自潜水艦「なだしお」と釣り船の衝突事故をめぐる海難審判の一審以来、二例目となる。

 「指定海難関係人」は、あたごの前艦長船渡健ふなと・けん一等海佐(53)や衝突前と衝突時の各当直責任者、戦闘指揮所(CIC)の責任者と、あたごの所属部隊の第三護衛隊(京都府舞鶴市)の計五者。

 審判では、理事官側が「あたごの動静監視不十分が事故の主因」として海自側の五者すべてへの勧告を審判所に請求。海自側は「急に右転し、加速した清徳丸に主因がある」と指摘し、事故後に安全指導を徹底したとして勧告は不要と主張していた。

 事故は昨年二月十九日に千葉県の野島崎沖で発生。清徳丸の吉清治夫きちせい・はるおさん=当時(58)=と、哲大てつひろさん=同(23)=親子が不明となった。第三管区海上保安本部(横浜)が死亡認定、業務上過失致死容疑などであたごの当直責任者二人を書類送検した。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200901180298.html