大手精密機器メーカー「キヤノン」(東京)の関連施設をめぐり、工事を受注した大手ゼネコン「鹿島」(同)から受領した仲介手数料などの一部を税務申告せず、数億円を脱税した疑いが強まったとして、東京地検特捜部は十七日までに、法人税法違反などの容疑で近く、大分市内のコンサルタント会社「大光」社長(65)らの本格捜査に乗り出す方針を固めたもようだ。
鹿島が支出した金は、同工事の過程で
関係者によると、鹿島はキヤノンから大分市内にある関連機器生産工場の建設工事を請け負ったほか、これに先立つ用地造成工事も大分県土地開発公社から受注。ほかに川崎市のプリンター関連研究施設の工事などもキヤノンから請け負った。
大光などは、これらの工事を受注できるよう仲介。鹿島から受け取った手数料などの所得を隠し、脱税した疑いが持たれている。
鹿島は、このキヤノン関連工事をめぐり、下請け契約を結んだ業者に架空の外注費を支払った形で裏金を捻出していたとして、東京国税局から二〇〇六年三月期までの二年間に六億円の所得隠しを指摘されている。
大光への手数料は、こうした裏金の一部から支出されていたとされ、裏金づくりには大阪市内の別のコンサルタント会社などが関与した疑いがあるという。
大光社長の兄は大分出身の
民間信用調査会社によると、大光は一九九〇年、不動産売買などを目的に設立された。
▽キヤノンの工場建設
大分県の誘致を受け、キヤノンは2003年10月、大分市内でのデジタルカメラ工場建設を表明。05年6月にはトナーカートリッジなどプリンター関連の工場建設計画も発表した。両工場は市内の丘陵地帯に隣接して建てられ、稼働中。土地は大分県土地開発公社が鹿島に総額約80億円の随意契約で造成を発注、整地されたものをキヤノン側が購入した。建物の建設は、カメラ工場については鹿島が、プリンター関連工場は鹿島と大林組が受注している。