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2009年01月17日(土) 15時07分

「宇宙日本食」自宅で味わう 気分は若田光一さん!?産経新聞

■カレー、ようかん…市販され大人気

 レトルトカレー、ようかん、イワシのトマト煮…。一般家庭で親しまれている料理や菓子が、国際宇宙ステーション(ISS)の食事に彩りを加える。来月から宇宙飛行士の若田光一さんが長期滞在するのに合わせて作られた「宇宙日本食」で、一部は市販され、繰り返し購入する人もいるほど人気だ。食事を通して宇宙での生活に思いを巡らせたいという人たちの好奇心をくすぐっている。(安田幸弘)

 「何、これ」「『宇宙日本食』って宇宙でしか食べられないの?」

 宇宙飛行士の毛利衛さんが館長を務める「日本科学未来館」(東京・青海)。見学に訪れた小学生が同館のミュージアムショップの宇宙食コーナーで足をとめた。

 ショップでは、大学いもやスナック菓子風のたこ焼きなど特殊包装された13種類の宇宙食を販売している。一番人気はレトルトの「スペースカレー」だ。副店長の高橋徹さんは「カレーは一昨年末から販売し、1カ月に1000個ほど売れています。ご家族の来館者に人気で、繰り返し購入する方も多い」と話す。土産としても人気で、一度に60個をまとめ買いをする人もいるという。

 このカレーは同ショップが扱う宇宙食で唯一、宇宙航空研究開発機構(JAXA、宇宙機構)が認定した「宇宙日本食」。ほかに山菜おこわ、野菜ソースなど国内の食品メーカー11社が作った計28品が宇宙日本食に認定されており、すべてISSに送られ、若田さんの食事を支える。

 これまでも、土井隆雄さんがたまごスープを宇宙に持っていくなど、和風の宇宙食はあった。だが「宇宙日本食」は、ISSでの長期保存などを目的に開発され、「品質保持期限12カ月」など一定の基準を満たしたものだけを認定した。

 宇宙機構は「若田さんに日本食の味を楽しんでもらい、長期滞在のストレスを和らげ、仕事の効率が上がることを期待して宇宙日本食が開発された」という。

 「スペースカレー」は辛めの味付け。製造したハウス食品(東京都千代田区)の広報・IR室によると「宇宙では味覚が鈍るようなので辛めにしました。当社のレトルトカレーの辛さ順位5段階のうち『4』に相当します」。また、カルシウムや紫外線対策として抗酸化作用があるとされるウコンを多く配合した。同社のネット通販でも購入でき好評だ。

 28品のうち日本科学未来館以外で市販されている宇宙日本食は「スペースカレー」のほかに、山崎製パン(同)の栗ようかんと小倉ようかん。味は同社が以前から発売している一口ようかんと同じだが、商品名を「YOHKAN」に。SUSHI(すし)と同じように、ようかんの認知度が宇宙を通して国際的に広まるかもしれない。

 まだ市販はされていないが、マルハ(同)が認定を受けたのは「サバの味噌煮」「サンマの蒲焼き」「イワシのトマト煮」の3品。いずれも、カルシウムやDHA(ドコサヘキサエン酸)など栄養豊富で、同社は「ISSでは外国の宇宙飛行士にも味わってもらいたい」としている。

 来年は、ママさん宇宙飛行士の山崎直子さんがスペースシャトルに搭乗する予定で、日本人飛行士の活躍が続く。宇宙機構は今後さらに宇宙日本食を増やしていく方針だ。市販される商品も増え、スーパーなどで気軽に購入できるようになれば、遠く離れた「居間」と「宇宙」の距離が少し縮まるかもしれない。

 宇宙機構は、ホームページで公開している「宇宙日本食認証基準Q&A」で「今後、火星の往復などで必要となる宇宙食はより長期間(3〜5年)の品質保持期限が必要になると思われる」としている。サバ味噌など栄養バランスがよく、宇宙飛行士たちに飽きのこない宇宙日本食が、ISSをはるかに超えた宇宙で活用されることが期待される。

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