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2009年01月17日(土) 00時47分

「講義で移動」狙う 背から心臓への傷も 中大教授刺殺事件産経新聞

 東京都文京区の中央大学後楽園キャンパスで同大理工学部教授の高窪統(はじめ)さん(45)が刺殺された事件で、犯人は高窪さんが犯行時間帯に殺害現場の1号館から2時限目の講義がある5号館に移動することを知って襲撃した可能性が高いことが16日、警視庁富坂署捜査本部の調べで分かった。中央大によると、高窪さんの講義は犯行日の14日が今学期最後だった。犯人が確実に襲撃を実行するため、高窪さんの行動パターンを把握し、1人になる機会を狙っていたとみて、捜査本部でトラブルの洗い出しを進めている。

 調べでは、高窪さんの教授室の鍵は施錠され、室内に上着やカバン、財布などが残されていた。鍵は1号館4階男子トイレに倒れていた高窪さんのそばに落ちていた。同じ4階にいた学生らの証言から、犯行時間は午前10時10分〜10時20分の約10分の間とみられ、高窪さんが講義予定の2時限目の午前10時40分が迫っていた。

 こうした状況から、犯人が、高窪さんが出勤し教授室に入ったことを確認した上で、講義のために再び出てくるのを待ち伏せし、トイレまで後を付けた可能性が高いとみられる。また、犯人は確定的な殺意を持って高窪さんを襲撃したとみられるが、高窪さんの妻は捜査本部に「夫のトラブルは思い当たらない」と話しているという。

 高窪さんには背中を中心に多数の傷があり、一部は背中から心臓に達する深い刺し傷や大動脈も切られていた。肺や心臓を刺されたことが致命傷になった。ほかにも手の親指と人さし指の間に傷があり、襲撃を防ごうとして刃を握った際に受けたとみられる。

 血痕は現場トイレから中央階段に続き、1階警備員室付近まで達していた。このほか、3階の廊下や西側の非常階段からも血液反応が出た。捜査本部は犯人の逃走経路を調べるとともに、相当な返り血を浴びて逃走したとみて大学周辺の聞き込みを続けている。

 また、捜査本部は犯人が執拗(しつよう)に高窪さんを刺すうちに手などを負傷した可能性が高いとみて、傷を治療に来た不審人物がいないか、医療機関に照会している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090117-00000500-san-soci