2009年01月17日(土) 12時44分
【阪神大震災14年】神鋼が通勤経路確認訓練(産経新聞)
震災で大きな被害を受けた神戸製鋼所(神戸市中央区)は17日、災害時に交通機関が寸断された場合に備え、社員約200人が会社まで徒歩で出勤する「コベルコ1・17ウォーク(通勤経路確認訓練)」を行った。参加した業務部担当部長の園田学さん(53)は、復興した神戸の街並みを眺めながら「街も、会社も、本当によくここまで復興できたと思います」と感慨深げに話した。
この日、園田さんは自宅のある兵庫県明石市内から電車に乗ってJR須磨駅で降り、会社まで約13キロの道のりを歩いた。
震災前夜は長男と遅くまで全国大会7連覇を果たした同社ラグビー部の試合のビデオをみていたという。当日は大きな揺れで、ベッドから飛び起きた。妻が落ちてきたステンドグラスで軽傷を負ったが、子供2人にけがはなく、木造2階建ての自宅もなんとか持ちこたえた。
園田さんはすぐに車で会社に向かった。会社近くの路上では、高齢の女性が、「孫が、孫が」と泣き叫んでいた。到着すると社屋の1階部分は押しつぶされ、全壊。製鉄所の心臓部ともいうべき高炉は大きく傾き、緊急停止していた。「信じられない光景でした。本当に、忘れることはできません」。
それでも震災後、社員一丸となって復旧に努め、停止していた高炉は4月2日に運転を再開。園田さんは「震災後にがんばり抜いた経験が、会社をここまで発展させたという思いは強い」という。一方で、震災を経験した社員は年々少なくなっている。
会社までの3時間、園田さんはゆっくりと一歩一歩をかみしめるように歩いた。「この道を歩くと、『負けるものか』とがむしゃらに仕事をした当時を思いだした。来年は15年の節目なので、2人の子供を連れて歩きたい」。
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