2009年01月17日(土) 12時20分
<中越沖地震>発生1年半 被災の主婦「心の駅」で語り合う(毎日新聞)
発生から1年半がたった新潟県中越沖地震。自宅で暮らす住民がいる一方、今も仮設住宅暮らしを強いられる被災者も。境遇の違いから近隣住民同士のいさかいもあったが、心の溝を埋めようと互いに語り合う場を設ける努力も行われている。
連日のように強風や雪が続く柏崎市宮川地区。ここに住む主婦、森山よし子さん(60)は、仮設住宅には移らずに済んだ。ただ、震源に近かったこの地区では、木造家屋を中心に被害が集中。地震当時、152世帯約380人いた住民のうち、ピーク時は26世帯56人、昨年末現在でも14世帯31人が仮設暮らしを続けている。15世帯約40人は地区を去った。
仮設には届く救援物資が、自宅で暮らす住民には情報も伝わらない。ささいなことで隣人同士がいがみ合うこともあった。そんな中、宮川地区に足しげく通ったボランティア、若林和枝さん(49)=小千谷市=の言葉が心に響いた。「みんな同じなんだから、人の悪口を言っちゃだめ」
若林さんも04年の中越地震で被災。気持ちが落ち込んだ時、阪神大震災の被災地から駆け付けたボランティアに励まされた。食器を持ち込んでくれたり、花の種を贈ってくれたり。押しつけがましくない態度がうれしかった。「あの経験が『自分にも何かできるかも』という自信につながった」と若林さん。
森山さんも若林さんにならって、昨年春から動き出した。集会所にお茶やお菓子を持ち込み、住民同士が語る場を設け、「心の駅」と名付けた。
老若男女、世代を超えて住民が立ち寄り、人の輪が広がり始めた。「もともと世話好きだから。こんな楽しい『駅』が私の夢だった」と森山さん。被災者同士の心の雪解けを待ちわびる毎日だ。【五十嵐和大】
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