各地の神社で「景気回復」や「就職」を願う絵馬が目立っているという。書かれた文字にもどこか切迫感がある。
世界不況の影響が直撃しているトヨタ自動車九州から十数キロの宗像大社(福岡県宗像市)。絵馬堂には大学合格や家内安全の祈願に交じって、昨年まではほとんどなかった「祈 就職試験合格」「就職できますように、頑張ります!」といった絵馬がつるされていた。
奇妙なことに、おさい銭の額は落ち込む一方なのに絵馬やお守りなどの縁起物はよく売れているという。特に絵馬は、えとの牛を描いた1万8000枚が品切れとなり、赤鬼と青鬼を描いた節分用まで動員したという。権禰宜(ごんねぎ)の大塚宗延さん(31)は「こんな時だからこそ縁起物にはお金を惜しまず、『今年こそ』と願いを込められたのではないでしょうか」と、ずらりと並んだ絵馬に目をやった。
妊娠中の妻と福岡県宮若市から訪れた会社員の内田啓介さん(24)は、会社の業績は順調だったが、経営陣が景気後退を警戒したのかボーナスは前年並みだった。「私たちのアパートでも引っ越す人が増え、空き部屋が目立つようになりました。不況の影響かな」
内田さん夫婦の願掛けは「まずは安産、そして景気回復を」だった。(大野博昭)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090117-OYT1T00555.htm