新潟工科大学(柏崎市藤橋)で、建築学科の学生たちが段ボールでシェルター(避難所)を作り、風雪に対する強度や耐久性の実験を続けている。
限られた材料で防風・防雪構造を工夫する授業の一環。災害時の避難生活に応用できる構造も目指し、理論を学ぶだけでなく実践力を養う試みだ。
同学科の田口太郎准教授(32)が「工学創造設計2」の授業で取り組み、3回目。今回は、受講している2年生58人が参加した。グループに分かれた学生たちは、設計と模型作りを経て、昨年12月初旬、計6基を完成させ、大学構内の屋外に設置した。
約1か月半後の1月22日まで風雪に耐えるのが目標。材料は原則、段ボールを使い、壁などの主要部分を除いて断熱材なども使える。内部に1人が入れる大きさで、学生が構造やデザインを自由に決めた。
災害時は、安価な素材で風雨をしのげるシェルターが必要となるため、段ボールの加工の仕方やその耐久性などを調べる。
吉沢梓さん(20)のグループは、五角形と六角形にした段ボールの壁を組み合わせ、サッカーボールのようなドーム形を作った。高さ1メートル、直径1・7メートルほど。この形の組み合わせは、外からの力を分散させて丈夫な構造となる理論に基づいているという。
断熱材も使ったが、吉沢さんは「段ボールは空気の層を含むので案外暖かい」と実感した。表面に布製の粘着テープを張って防水効果を高めており、本格的な降雪にも自信がある。
近藤義朗さん(20)らは蛇腹に折り目を付けた段ボールを合掌造りの屋根の様に組んだ。蛇腹にすると、上からの力に対し強度が増し、屋根に雪が積もらず荷重を減らせる。近藤さんは「防水がいかに大変か、実際に作ってよく分かった」と振り返った。
6基のうち、ビニールなどで十分な防水加工をしなかった1基が半壊したが、田口准教授は「おおむねうまくいっている」と見ている。シェルターは22日に解体され、学生たちが形状と強度などを検証する。
田口准教授は「身近な素材の紙をもっと理解してもらいたい。理論だけではなく、実際の気候に合わせて作ることでしか分からないことがある」と意義を強調している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090116-OYT1T01078.htm