5月に始まる裁判員制度に向けて、最高裁刑事局は、4年間にわたり全国の地裁で行われてきた模擬裁判の成果を分析した報告書を作成した。
国民の負担を減らすため、審理期間の短縮を目指して工夫を重ねてきたが、報告書は、有罪・無罪などを判断する基礎となる真相の解明を重視し、「必要な審理は尽くされるべきだ」とした。「スピード審理」より「充実した審理」の必要性を指摘したもので、裁判員裁判のあり方を示す参考資料として、活用される。
報告書は、裁判員裁判の基本原則として、〈1〉裁判員が審理を理解できる〈2〉合理的な期間で審理を終え、裁判員の負担をできるだけ軽くする〈3〉真相解明と被告の権利保護——を挙げた。
その上で、「裁判員裁判でも真相の解明は審理期間の短縮以上に重要だ」と指摘。公判前整理手続きでは、「証拠の点数を減らすことのみに力を注ぐのではなく、真相解明に必要不可欠な証拠は何かという観点が重要だ」と述べ、「証拠の絞りすぎ」と言われる傾向にクギを刺した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090116-OYT1T01067.htm