準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)の外国為替及び外国貿易法(外為法)違反事件で、国内に持ち込まれた裏金は、元副社長・藤巻恵次容疑者(68)や同社子会社「松栄不動産」元社長・宇都宮敬容疑者(67)名義の貸金庫に現金で保管されていたことが、関係者の話でわかった。
東京地検特捜部は、藤巻容疑者らが海外で捻出(ねんしゅつ)した裏金を西松建設元幹部・高原和彦被告(63)(業務上横領罪で起訴)に日本まで運ばせた後、直接管理していたとみて追及する。
関係者によると、藤巻、宇都宮両容疑者は、裏金を保管するため、それぞれ社外に個人名義の貸金庫を持っていた。高原被告が香港から日本に運んだ裏金は、藤巻容疑者らに渡され、これらの貸金庫で現金のまま保管されていたという。宇都宮容疑者の貸金庫には一時期、約2000万円があった。ただ、時効分も含めた裏金約1億円の大半は、行方が分からなくなっている。
藤巻、宇都宮両容疑者はともに1964年に西松建設に入社。藤巻容疑者は2003年、海外でプールしていた裏金の引き出しを指示していたとされる同社管理本部(旧事務本部)の本部長に就任。前任は国沢幹雄社長(70)だった。宇都宮容疑者も90年代後半、国沢社長が社長室長時代に社長室の部長を務めており、両容疑者とも国沢社長の「側近」とされた。
特捜部は裏金の持ち込みについて、藤巻容疑者ら会社上層部を中心とした組織ぐるみの犯行とみており、法人としての同社を外為法違反容疑で立件することを視野に入れている。昨年11月には、同法違反事件の関係先として、国沢社長の自宅を捜索。今月15日には任意で事情聴取するなど、国沢社長の関与の有無についても調べている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090117-OYT1T00001.htm