2009年01月17日(土) 23時16分
<イスラエル>ガザ停戦へ…米と武器密輸阻止覚書(毎日新聞)
【エルサレム前田英司】イスラエルが16日、パレスチナ自治区ガザ地区への武器密輸阻止に関する覚書を米国と交わし、ガザ情勢は一気に停戦の流れが強まった。米国では20日、オバマ新政権が発足する。覚書はイスラエルにとって、米政権が「親友」のブッシュ氏から「未知」のオバマ氏に移行しても、自国の安全保障への関与を約束する保証となる。イスラエルにはオバマ氏の正式就任までに事態を収束させるのが得策との思惑も強く、戦術的、戦略的な判断が働いた形だ。
ライス米国務長官は16日、ワシントンでの記者会見で、ガザへの武器密輸を阻止する国際社会の協力が「持続的な停戦に貢献する」と指摘。そのうえで「米国はイスラエルの安全保障に関与し続ける」と強調した。
両国は覚書で、ガザへの武器密輸を阻止する監視メカニズムの構築を確認。具体的には、米国が密輸ルートの察知・摘発に必要な装備や情報を提供するほか、エジプトなど実際に密輸監視に当たる当局の訓練を請け負う。エジプト境界の地下トンネルだけでなく、地中海や紅海、アフリカ東部での海上パトロールなども想定して、北大西洋条約機構(NATO)との連携も明示した。
イスラエルは、ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスの「弱体化」を達成するうえで、この武器密輸の阻止を最重視する。エジプトは取り締まりの徹底を約束するが、イスラエル側には従来の取り組みが不十分だったとの不信感がある。米国の関与で「エジプトの活動を補完する」(リブニ外相)ことができ、イスラエルが停戦条件に掲げてきた国際的な態勢作りにも合致すると判断した。
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