2009年01月17日(土) 22時05分
心肺同時移植 待機6年近く、提供者不足が課題(産経新聞)
心肺同時移植は、心臓と肺の双方に疾患があり、心臓だけの移植や肺だけの移植では死期を早めかねない重症患者が望んでいる移植医療だ。
手術は、心臓と肺を切り離さず一体のものとして行う。そのため、気管や動静脈の切断個所は少なく、心臓単体の移植や、左右の肺を1つずつ移植する両側片肺移植に比べれば、難易度は低いとされる。
日本では初となる心肺同時移植だが、世界中では約30年間で3000例を超えて実施されている。ただ、海外では最近、心肺同時移植が必要になるほど疾患が悪化する前に、肺だけの移植を行うようになり、心肺同時移植は年間で70〜80例に減っているという。
日本でこれまで心肺同時移植がなかった最大の原因は、提供に同意している人の数が不足している点にある。今回、移植を受ける男性は、この日を6年近く待ち続けた。国内で心肺同時移植を待っているのは今回移植を受ける患者を含めて4人。いずれも先天性の疾患で幼いころから移植が必要とされている。
心臓、肺だけの移植待機期間の平均が2〜3年であるのに比べ、1例目の移植までに倍近い日数がかかったことになる。
移植ネットワークなどでは、移植への理解を訴えるとともに、臓器移植の意思表示カードの配布場所を増やす努力をしているが、移植を必要とする人たちの願いをかなえるまでには至っていないのが現実となっている。
提供者を増やすために、本人の意思が不明であっても、家族の同意で臓器提供できるよう法改正しようとする動きなどもあるが、法案は国会でたなざらしになったままだ。
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