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2009年01月17日(土) 08時01分

「渡り」全面禁止を 自民行革本部 政府は否定的、また火種産経新聞

 自民党行政改革推進本部の公務員制度改革委員会(委員長・石原伸晃幹事長代理)は16日、党本部で会合を開き、国家公務員が再就職を繰り返す「渡り」の斡旋(あつせん)を首相が承認すれば可能とした政令を認めず、政府に見直しや廃止を求めることを決めた。次期衆院選を前に天下りを全面禁止していないことへの世論の批判をかわしたいことが背景にある。だが、政府側には今のところ変更する考えはなく、あつれきが表面化している。

 天下りをめぐっては、公務員の再就職を一元管理する「官民人材交流センター」が昨年末に発足した。ただし、発足から3年間は、「再就職等監視委員会」が各府省の職員の天下りの斡旋の可否を判断する。とくに、天下りを繰り返す「渡り」を認める場合は、「必要不可欠な場合」に限定するとしている。

 しかし、斡旋の可否を判断する再就職等監視委員の人選が野党の反対で国会の承認を得られないまま空席となったため、政府は昨年末、委員が任命されるまでは首相が判断するという政令を閣議決定した。

 このことに党内から「首相が自ら『渡り』を認めるのか」(閣僚経験者)との批判が相次ぎ、「都合の良い内容を政令にもぐり込ませるのは官僚の常套(じょうとう)手段だ」(執行部の一人)と麻生太郎首相の改革への姿勢に対する不満も噴出している。

 この日の公務員制度改革委員会では「法的根拠があるとしても国民に説明できない」「首相の発言がぶれたと批判されても、政令を見直すべきだ」との発言が相次いだ。石原氏も、「政令の内容が政府側から党に事前に報告されていなかった」と強い不満を示した。

 一方の政府側は、麻生首相が9日の衆院予算委員会で、「渡り」を「原則として承認しない」としながらも「必要不可欠な場合」の条件として、(1)国際機関での勤務経験が極めて豊富(2)外国当局との交渉の知識や経験が十分−な場合に限定すると説明した。

 河村建夫官房長官も16日の記者会見で「現時点で方針に変化はない」と政令見直しに否定的な見解を示したが、党行革本部は独自の対応策を取りまとめてでも政令の見直しや廃止を求める構えだ。

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