2009年01月16日(金) 23時19分
<米シティ>日興売却示唆、業界再編の引き金に(毎日新聞)
米金融大手シティグループが、個人向け証券の日興コーディアル証券や資産運用会社の日興アセットマネジメントを非中核業務に位置づけたことで、将来、両社が他社に売却され、業界再編の引き金となる可能性が出てきた。シティは昨年1月に日興コーディアルグループ(現日興シティホールディングス)を完全子会社化したばかり。日本での事業戦略はわずか1年で崩壊の瀬戸際に立たされた。【野原大輔、斉藤望】
シティは日興コーディアル証券について「日本事業の中核会社は売却しない」としてきたが、パンディット最高経営責任者(CEO)は、その方針を一転させて「世界戦略にそぐわない」などと将来の売却を示唆した。日興コーディアルは売却される可能性が一気に高まった。日興アセットについても、シティは上場を計画中だが、資産圧縮を進めて資金を得るため、他社への売却に踏み切る可能性がある。法人向け証券の日興シティグループ証券は、投資銀行業務などの中核事業に含まれるとみられる。
一方、日興コーディアルなどの買収に最も興味を持っているのは、大手邦銀だ。大手邦銀ではここ数年、融資が頭打ちとなっており、社債や株式による企業の資金調達に応じるため、証券業務の強化が課題になっている。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は、旧三菱銀行と旧日興証券が資本提携関係にあったことから、過去に当時の日興コーディアルグループ買収に関心を示した経緯がある。みずほFGも、商品販売力が課題となっている傘下のみずほ証券を強化するため、日興買収を検討した。ただ、金融危機の影響で収益が落ち込んでおり、大規模な出資案件には慎重だ。また、国内拠点が少ない外資系金融機関も、買収に名乗りを上げる可能性がありそうだ。
ただ、シティは昨年1月までに総額約1兆5000億円をかけて、日興を完全子会社化した。市場が動揺している今、売却すれば巨額の売却損が出るのは避けられず、「日興売却には慎重にならざるを得ないのではないか」(大手証券)という見方もある。
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