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2009年01月16日(金) 22時19分

<みずほFG>経営機動力に課題も 3首脳交代人事毎日新聞

 みずほフィナンシャルグループ(FG)が16日発表したグループ発足後初の3首脳交代は、統合前の旧3銀行の勢力均衡を維持した人事となった。ただ、金融危機の中、4月からの新体制が厳しい船出に直面するのは避けられない。「バランス優先」のトップ人事は、激変する経済環境に対応可能な経営の機動力に課題を残しそうだ。【斉藤望】

 新たな首脳人事は、持ち株会社のみずほFG社長に旧第一勧業銀出身の塚本隆史副社長、大企業向けのみずほコーポレート銀頭取に旧日本興業銀出身の佐藤康博副頭取、個人・中小企業向けのみずほ銀頭取に旧富士銀出身の西堀利副頭取がそれぞれ昇格する。現在の首脳も旧3行でポストを分け合っており、これを踏襲した。

 みずほFGは、規模や収益力が似た旧3行が統合して02年4月に発足。東京三菱銀がUFJ銀を救済した三菱UFJFGや、住友銀主導でさくら銀(旧太陽神戸三井銀)を合併した三井住友FGと異なり、旧3行の微妙なバランスの上に成り立ってきた。傘下銀行を大企業向けと個人・中小企業向けに分ける独特の形態も、バランス重視というお家の事情が働いたためだ。

 しかし、その結果、「投資銀行宣言」を掲げて海外の証券化商品業務に走り、金融危機で巨額損失を計上したみずほコーポ銀と、国内での足場固めを優先したいみずほFGやみずほ銀との路線対立がささやかれてきた。

 今回の首脳人事について、16日会見した前田晃伸みずほFG社長は「適材を選んだ結果」と強調した。ただ、みずほコーポ銀の投資銀行化を主導した旧興銀出身の斎藤宏頭取と佐藤副頭取がそれぞれ会長、頭取を占めることに対し、他行出身の中堅層から反発の声が出るなど最後までさや当てが続いた。斎藤頭取は女性問題も報じられたが、実力者ぶりは衰えなかった。

 発足から丸7年務めた前田社長ら現首脳は、懸案の公的資金を返済するなど一定の区切りをつけて「第2世代」にバトンを渡す。だが、旧3行のしがらみを背景に、統合による相乗効果を発揮しているとは言いがたく、09年3月期決算は大幅な業績悪化が必至だ。

 新首脳3人は16日の会見で、「環境が困難だからこそ、飛躍に向けて課題を見直すチャンス」(塚本氏)、「大きな変革の中で金融機関のあり方を真摯(しんし)に考えたい」(佐藤氏)などと語った。危機克服に向け、旧3行の枠組みを超えた戦略が問われている。【斉藤望】

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