2009年01月16日(金) 22時07分
<旅客機不時着>搭乗の日本人「窓から水、怖かった」(毎日新聞)
【ニューヨーク高橋秀明】米ニューヨーク市のハドソン川に15日、不時着水した米USエアウェイズ機に搭乗していた大阪市の貿易会社「堺商事」現地法人に所属する出口適(かなう)さん(36)は、墜落事故から一夜明けた16日、毎日新聞の取材に「着水後、窓から水がざーっと入ってきた時が一番怖かった」と語った。
【写真特集】カメラがとらえた厳冬の救出劇
最後尾から3列目の座席に座っていた出口さんは「ドンという衝撃があった後、何かが燃えるようなにおいがした。妻と1歳の娘の顔を思い浮かべ、死ねないぞと思った」という。01年9月11日の米同時多発テロ当時もニューヨークに勤務していたが、「原因は分からなかったが、テロを連想することはなかった」と振り返った。
飛行機は隣接するニュージャージー州の空港への着陸をあきらめ、ハドソン川への着水を選んだチェスリー・サレンバーガー機長(57)の判断で左へ急旋回。ジョージ・ワシントン・ブリッジのすぐ上を通過後、「左側の窓に摩天楼が迫って見えた」。大惨事と隣り合わせだった。すさまじい衝撃とともに着水。気温氷点下6度、水温5度の中、乗客たちはパニックにならず「落ち着いて女性を先に助け出した」。出口さんも翼の上で「20分から30分待機した」というが、ボートが次々に来るのを見て「助かったと思った」という。
救出された後、翼が沈んでいくのが見えた。外出していて事故を知らなかった家族には携帯電話で「墜落したけど、心配はいらないから」と連絡した。
両方のエンジンが止まりながら乗客乗員155人が無事救出され、米メディアが「ハドソン川の奇跡」と報じた機長の判断について、出口さんは「アナウンスの声も落ち着いていた。そのおかげで乗客は安心したのだと思う」と語った。
【関連ニュース】
旅客機不時着:そのとき機長は? 155人救出までの一部始終
旅客機不時着:NYの川、155人全員救助 エンジンに鳥
コンチネンタル航空機:トラブルで福岡空港に引き返す
堺・ヘリ墜落:「乗客が機長席で操縦」 不自然な飛行、安全委報告へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090116-00000147-mai-soci