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2009年01月16日(金) 20時08分

彩香ちゃん「人形拾おうと川に転落」鈴香被告が新供述 秋田連続児童殺害事件産経新聞

 秋田県藤里町の連続児童殺害事件で殺人と死体遺棄の罪に問われ、1審で無期懲役判決を受け仙台高裁秋田支部(竹花俊徳裁判長)で控訴審中の無職、畠山鈴香被告(35)の性格鑑定を実施した東海学院大、長谷川博一教授(臨床心理士)が16日、秋田市内で会見を開いた。長谷川教授は鈴香被告に対してカウンセリングを行った結果、これまで「忘れた」としていた長女、彩香ちゃん=当時(9)=事件時の記憶を鈴香被告が取り戻し、「彩香ちゃんは、川に落としたピカチュウを拾おうとして、誤って(橋の上から)落ちてしまった」と説明していることを明らかにした。

  ・検察あらためて死刑求刑…鈴香被告の控訴審

 鈴香被告は彩香ちゃん事件について、捜査段階では「殺意を持って川の中に突き落とした」としたが、1審では「急に抱きつかれて反射的に振り払った」と述べ過失と主張、控訴審では「(記憶が)一部残っていない」としていた。

 長谷川教授によると、カウンセリングは15、16の両日、秋田刑務所で行われ、事件当時の記憶を取り戻すイメージ療法を施したという。

 その結果、鈴香被告は16日のカウンセリングで、彩香ちゃんが橋から川に落としたピカチュウのおもちゃを拾おうとして、欄干と道路のすき間から自ら身を乗り出し、誤って川の中に落ちていった−という記憶を断片的に思いだし、「(落ちた彩香ちゃんを救おうと)自分の右手を橋の向こうへ伸ばした」などと話したという。

 長谷川教授は「(これまでの供述は)被告の被暗示性が強く、他人から示唆されると信じやすいという性格からそう思い込んだ可能性がある。今回の記憶の方が真実に近く、検証する必要がある。今後もカウンセリングを続ける」としている。また、鈴香被告に次回公判で、思いだしたことを証言するよう提案したという。

 長谷川教授は、これまで大阪の池田小事件や山口県光市の母子殺害事件の被告などと面会しており、今回は弁護側の要請で鈴香被告の性格鑑定を実施。検察側は「客観性、公平性がなく裁判の証拠とはなりえない」として不同意し、高裁も証拠不採用とした。今回のカウンセリングは、長谷川教授が独自に行ったもので、控訴審には影響しない。

 次回公判は19日午前10時から開かれる。

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