中央大理工学部の高窪統(はじめ)教授(45)が東京都文京区の大学構内で刺殺された事件で、高窪さんの遺体には細かいものも含めると60か所以上の傷があり、犯人が5分以上にわたって刺し続けたと推定されることが16日、警視庁富坂署捜査本部の調べで分かった。司法解剖の結果、背中には心臓まで達する傷があり、捜査本部は犯人に確定的な殺意があったとみている。
高窪さんが倒れていた1号館4階トイレの壁にあった血痕は、腰の高さより低い位置に集中していたことも判明。犯人は誰もいないトイレ内で倒れ込んだ高窪さんに馬乗りになるなどして、執拗(しつよう)に刃物で刺した可能性がある。
捜査本部は高窪さんに恨みを持つ人間がいなかったかどうか交友関係を中心に捜査。高窪さんの妻は「思い当たるトラブルはなかった」と話しているという。
捜査本部によると、4階にある高窪さんの教授室は施錠されており、室内には財布やかばんが残っていた。教授室の鍵はトイレ内で見つかった。捜査本部は高窪さんが午前10時40分からの2時限目の講義に向かう途中、トイレに立ち寄った際に襲われたとみている。
また、犯人がトイレの洗面台で血を洗い流した形跡はなかった。トイレ出入り口のスライド式ドアに血の付いた指紋はなく、捜査本部は犯人が手袋をして高窪さんを殺害し、手袋を外してからトイレを出た可能性もあるとみている。トイレのドアは開けると自然に元通りに閉まるタイプだった。
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