第140回芥川・直木賞(平成20年度下半期・日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は津村記久子さん(30)の「ポトスライムの舟」(群像11月号)に、直木賞は天童荒太さん(48)の「悼む人」(文芸春秋)と山本兼一さん(52)の「利休にたずねよ」(PHP研究所)に決定した。いずれも候補3回目の「三度目の正直」の受賞となった。
芥川賞を受賞した津村さんは、眼鏡姿で文学少女の空気を漂わせつつ「物事をいいように考えない性質なので…。みんなに『良かったですねえ、すごいですねえ』って言いたい。母親に電話で『ウソちゃうで』って言ったら『ホンマなん?』と」と第一声。「ポトスライムの舟」は、世界一周旅行を夢見ながら工場で働く独身女性の日常を描いた作品だ。選考委員の宮本輝さんは、「何でもない素材を丁寧に、てらいのない文章でよく書けている」と、評していた。
◆津村 記久子(つむら・きくこ)1978年1月23日、大阪府生まれ。30歳。大谷大文学部卒業後、会社勤務。05年のデビュー作「マンイーター(後に『君は永遠にそいつらより若い』に改題)」で太宰治賞受賞。07年の「カソウスキの行方」と08年の「婚礼、葬礼、その他」で芥川賞候補。他の作品に「花婿のハムラビ法典」「冷たい十字路」など。
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