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2009年01月16日(金) 20時05分

「ヤフー!BB」が「NTT光」販売 犬猿の仲の両者提携の「なぜ?」J-CASTニュース

 かつて街頭でADSLのモデムを大量に配ることで注目を集めた「ヤフー!BB」が、光回線事業に大きくシフトしている。同社はNTT東西のインフラを借りて光回線事業に参入したものの、苦戦。代わりに、NTT東西と代理店契約を結び、ソフトバンクがNTTの光回線「フレッツ光」を販売する方向で交渉が進んでいる。すでに、一部地域では試験販売も行われている。ブロードバンド回線におけるADSLのシェアが低下するなか、通信業界では「犬猿の仲」だった2大グループによる、異例の提携が進んでいる。

■ソフトバンクの光回線サービスは伸び悩み

 ソフトバンクは01年9月、「ヤフー!BB」のブランド名でADSL(非対称デジタル加入者線)事業に参入。通信モデムを街頭で無料配布するなどして加入者数を急速にのばし、3年間で、その数は440万人以上に達した。

 一方、ADSLという技術は、さらに大容量のデータ送信が可能な光ファイバー回線が本格普及するまでの「つなぎの技術」との見方が当初から有力で、各ISP(インターネット接続業者)は光回線への参入を進めてきた。ソフトバンクも例外ではなく、04年10月には、NTTが開放義務を負う光ファイバー(電話局〜加入者宅)を借り上げる形で、「ヤフー!BB 光」という光ファイバー接続サービスを開始したが、加入者数は伸び悩んだ。

 一方、08年4月に総務省が発表した「通信利用動向調査」の結果によると、07年9月時点で、自宅PCから光回線に接続している割合は前年比4.1ポイント増の31.4%だったのに対して、DSL回線(ADSLはDSLの一種)は同8.8ポイント減の18.9%。初めて光回線がDSLを上回った。

 ADSLから光回線への移行は着実に進んでいることが浮き彫りになった形で、同社が、ADSLに「しがみつく」ことは、もはや困難な状況だ。

 このような状況を受けて、ソフトバンクが08年10月に発表した08年9月中間期(08年4月〜9月)の連結決算でも、ブロードバンド・インフラ事業の売り上げは前年同期比で6.5%減少している。中長期的には「ジリ貧」との指摘も出そうだ。

■ソフトバンクが代理店となって、「フレッツ」を販売?

 また、MM総研が08年11月に発表したところによると、08年9月時点でのNTTの光ファイバー契約の市場シェアは73.5%で、「次点」のKDDIは7.0%。光ファイバー市場は圧倒的な寡占状態だ。「仮に他社のインフラを借りて光事業をやるとすれば、組む相手はNTT」という見方もできそうだ。

 そんな動きが、いよいよ具体化してきた。ソフトバンクBBは、08年12月中旬から、群馬、栃木、長野の3県の一部地域で、「Yahoo! BB 光 with フレッツ」と名付けたサービスの提供を開始した。サービス名からも分かるように、ソフトバンクがNTT東日本の光回線「フレッツ光」の販売を開始した形だ。

 今後、ソフトバンク側が代理店となって、「フレッツ」の販売を全国展開する可能性もありそうだが、ソフトバンクの広報室では、

  「現在はテストマーケティング(市場調査)の段階。(NTT東西と)話し合いはさせていただいている」

と話しており、交渉についても、まだ「ゴールが見える」という段階までは至っていない様子だ。

 もっとも、通信回線の開放問題をめぐり、NTTとソフトバンクは、元々は「犬猿の仲」。このような状況下での「異例の提携」で、さまざまな憶測を呼びそうだ。

 提携の経緯については、ソフトバンクでは

  「お客様のニーズを踏まえて、自社インフラにとどまらず、広く事業展開する可能性を模索したい」

とのみ説明している。


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