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2009年01月16日(金) 15時00分

阪神大震災:西宮の教訓、全国へ あす「被災者支援システム」配布−−総務省 /兵庫毎日新聞

 阪神大震災から14年を迎える17日、総務省は、被災自治体である西宮市が開発した「被災者支援システム」をCD—Rに収め、全国の都道府県と市区町村に配布する。災害直後に自治体が担う業務を一括で管理できるように工夫したソフト。同市は「震災では多くの自治体関係者に支援していただいた。その恩返しの意味を込め、西宮の教訓を全国発信したい」と話している。
 システムは、被災者の安否確認▽避難所▽緊急物資▽仮設住宅▽遺族——などの6項目で構成される。被災者の氏名、住所などの基本情報をベースに、被災状況を書き加えていくことで、被災者証明書の発行、仮設住宅への入居、義援金の交付など行政手続きをスムーズに進めることができるという。
 同市では震災で1146人が死亡し、約6万1000世帯が全半壊した。地震直後は救援物資の配給量が避難所によって偏ったり、市役所に被災者が詰めかけ、被災証明書の発行に7時間近くかかるなど、混乱が生じた。そのため、同市は地震発生から約20日後に同システムを立ち上げ、証明書の発行は1時間程度に短縮し、避難所では高齢者や乳幼児の数を把握し、紙おむつや粉ミルクなどの物資も適切に配布できるようになったという。
 こうした実績を活用しようと、総務省の外郭団体「地方自治情報センター」は06年から、全国自治体にシステムの利用を呼びかけてきた。しかし、07年7月の新潟県中越沖地震では被災自治体から「今、システムを導入する余裕はない」などの理由で断られてしまい、同省は今回、災害発生の前にシステムを導入し「いざというとき」に備えてもらおうと配布を決めた。【生野由佳】
〔阪神版〕

1月16日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090116-00000159-mailo-l28