ドイツの民間銀行最大手ドイツ銀行は14日、2008年10—12月期決算で約48億ユーロ(約5700億円)の純損失を計上するとの見通しを発表した。金融危機が深刻化したためで、この結果、08年の年間でも約39億ユーロ(約4600億円)の赤字に転落する。「年間での赤字は戦後初めて」(同行)という。
欧米大手金融機関の中で業績が安定しているとされたドイツ銀行も、赤字転落で経営の立て直しを迫られることになった。ドイツ政府は打撃が大きい民間二位のコメルツ銀行などに公的資金を投入、金融システムの動揺を防いでいく方針だ。
またドイツ銀行は同日、ドイツ政府が大株主である郵便大手ドイツポストから一時的に約8%の出資を受けることも公表。ドイツ銀行の財務安定に政府が間接的に関与することになる。市場では「金融市場の安定化を狙った措置」と受け止められている。
赤字転落となったのは、株式や金融派生商品(デリバティブ)の取引などが不調だったため。不動産関連の損失処理をしたことなども響いた。07年は65億ユーロと過去最高の純利益を計上していた。
ドイツ銀行のアッカーマン頭取は「極めて厳しい市場環境が業績に打撃となった」と指摘した。
ドイツ銀行は昨年9月、ドイツポスト子会社の民営化銀行ポストバンクを傘下に入れる計画を発表。しかし、その後の市場環境が大きく変化したため、買収条件を見直した。ドイツポストがドイツ銀行へ出資するのも一連の取引の一環という。(共同)
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