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2009年01月15日(木) 00時54分

「消費増税」政局の火種に 自民政調、批判噴出産経新聞

 政府は14日、自民党の政調全体会議に対して、平成23年度以降、段階的に消費税税率を5%引き上げる財政試算を前提とした「経済財政の中長期方針」の原案を提示したが、出席議員から批判が噴出し、了承は見送られた。政府は麻生太郎首相の強い意向を踏まえ、「方針」を月内に閣議決定するとともに、3年後の消費税引き上げを21年度予算案の関連法案である税制改正法案の付則にも盛り込む方針。これに次期衆院選で増税批判を浴びるのを嫌う自民党議員が反発する構図が鮮明となった。定額給付金に加え、消費税が造反を誘発しかねず、政局の火だねとなりそうだ。

 自民党の中川秀直元幹事長は14日昼、都内での同党所属議員のパーティーで、財務省主税局幹部の姿を見つけ、声を張り上げた。

 「これから消費税増税が政局、政策の焦点になっていく。今日は(自民党政調全体会議で)2時間、獅子吼(ししく)してきた。増税の前にやるべきこと(=行革)をやらないでいいのか。こんな経済状況で適切なのか!」

 中川氏は政調全体会議で、ひな壇の保利耕輔政調会長の前に陣取り、2時間の会議の中で、何度もマイクを握り、「景気がちょっと上向いたところで増税すれば、景気が2番底、3番底になる」「いつの間にか増税を付則に入れる話になったが、おかしい。誰が決めたんだ」と攻め立てた。

 他の議員からも「行革や国会議員の歳費カットをせずに消費税増税をいって国民の理解が得られるのか」(塩崎恭久元官房長官)「税制法案の付則への(消費増税)盛り込みは絶対反対だ」(世耕弘成元首相補佐官)との声が相次いだ。

 自民党内には、政府が昨年末に閣議決定した税制抜本改革の「中期プログラム」に、23年度からの消費税引き上げが明記されてから、「衆院選で増税候補とレッテルを張られる」(町村派中堅)と不満がくすぶっている。定額給付金の採決で造反した松浪健太前内閣府政務官を首相が罷免しながら、党執行部が戒告という軽い処分で済ませたことが、税制法案の採決で造反を誘う可能性がある。

 麻生首相は14日夜、「景気がある程度回復する前提で、増税をお願いするといっている。この方針は中期プログラムにあるので、その方向で進めたい」と述べ、政府方針に変更はないと強調した。首相官邸で記者団の質問に答えた。政府は15日の政調全体会議に再試算データを提示するが紛糾が予想される。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090115-00000505-san-pol