14日午前10時半ごろ、東京都文京区の中央大後楽園キャンパスで「男性が血を流している」と警備員から110番があった。男性は同大理工学部電気電子情報通信工学科の高窪統(はじめ)教授(45)で、トイレ内で倒れていた。胸や背中など十数か所に刺し傷などがあり、間もなく死亡。現場からは男が逃走したのが目撃されている。警視庁は殺人事件として富坂署に捜査本部を設置、逃げた男の行方を捜査している。
冬休みが明け、学生が戻ったキャンパスに衝撃が走った。調べでは高窪さんは1号館4階のトイレの小便器の近くで、うつぶせの状態で倒れていたという。胸や腹、背中に十数か所の刺し傷があり、メッタ刺しの状態だった。
第一発見者の男子留学生によると、黒い服に黒いニット帽、眼鏡をかけた30代くらいの男が、トイレから逃走していったという。捜査本部の調べでは、トイレには争ったような形跡はなく、凶器は見つかっていない。一方、両手には抵抗した際にできる防御創が複数あったとの情報も。死因は失血死とみられ15日、司法解剖が行われる。
捜査本部は、犯人がトイレ近くで待ち伏せするなどしていきなり高窪さんを襲ったとみて、黒い服の男の行方を捜査。犯人が鋭利な刃物のようなもので執ように襲ったとみられ、顔見知りによる犯行の可能性も視野に、高窪さんに事件につながるようなトラブルがなかったか調べている。
また、午後にはキャンパスの南東約200メートルにある東京メトロ後楽園駅のトイレ内に血痕が見つかった。捜査本部は事件と何らかの関連があるとみて、血液の分析などを急いでいる。キャンパス近くのコンビニエンスストアの防犯カメラなどの解析も進める。
現場の1号館には受付がなく出入りは自由な状態。今月下旬のテスト期間や卒業論文の提出期限などを控え、この日は4階に10人程度の学生が前日から泊まり込んでいたという。高窪さんの研究室はトイレと同じ4階にあり、この日は午前10時40分から別棟で講義をする予定だった。出勤直後に事件に遭ったとみられる。後楽園キャンパスには理工系の研究室などがあり、法学部など文系学科は東京都八王子市の多摩キャンパスにある。事件後、キャンパス内は捜査員が走り回り、3つの門が封鎖され、3限以降はすべて休講に。残った学生は学生証で身元確認をされ、唯一の出入り口となった東門は大勢の報道陣と出入りする学生らでごった返し、異様な雰囲気に包まれた。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090115-OHT1T00057.htm