2009年01月15日(木) 21時47分
センター入試20回目、功罪は? 「思考力」判定難しく(産経新聞)
「不況で国公立志向が高まる」といわれている中、大学入試センター試験が17、18の両日、全国738会場で行われる。共通一次試験に替わる新試験として、平成2年に始まって以来、20回目の節目となる。今年の参加大学・短大は過去最多の797校にのぼり、大学入試の中心として定着したが、一方で「択一式のマークシート方式は本当の学力を反映していない」との批判も根強い。センター試験の功罪は−。
■寂しいスタート
大学入試から高校教育の範囲を超えた難問奇問の出題を排除するために始まったセンター試験だったが、平成2年の初回は国公立大132校に対し、私立大の参加はわずか16校。
当初は「独自性がなくなる」などとして消極的だった私立大だが、地方の高校生や国公立大受験者を取り込むために、参加校は増え続けている。21年度は私立校の参加数が全私立大の8割を超える487校に増え、過去最高となった。22年度も6大学が新たに参加を表明した。
背景には、大学側にとって、試験問題を作成する手間やコストを削減できるというメリットがある。ある大学関係者は「一定レベルの試験問題を作成できるかどうか疑問が残る大学もあり、センター試験によって、一定の学力レベルを持った学生を集めることができる」と話す。
今年の志願者数は前年比596人増の54万3981人、現役高校生の占める割合は79・3%と、センター試験開始から20年間で最高となった。一方、志願者数全体では、15年度の60万2887人をピークに減少し、近年は横ばいを続けている。
■課題も多く
大学入試の中心となる中で、問題点も浮かび上がる。
平成19年、大阪市の私立高などが特定の生徒に数十の学部・学科を受験してもらい、合格実績を水増しする問題が発覚した。私立大がセンター試験の成績で合否を決める募集枠を設定していることを悪用した形だ。
マークシート方式の試験への批判も根強い。「選択式の試験問題は、考えない人を育てている」。ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英京都大名誉教授の批判は記憶に新しい。教育評論家の小宮山博仁氏も「知識を問うマークシートは時代遅れ。それだけでは論述力は養えない」と指摘する。
この20年間、日本の教育環境は大きく変わった。学習量を大幅に削減した「ゆとり教育」が学力低下を招いたと指摘され、昨年公表された新学習指導要領では、授業時間を増やすなど「脱ゆとり教育」にシフトしている。
だが、センター試験は18年度からリスニング試験を導入しただけで、20年間、そのスタイルを変えていない。22年度入試からは過去問題の使用も解禁される。
国立大学入学者選抜研究連絡協議会会長を務めた村上隆中京大教授は「一次選抜としては一定の役割を果たしているが、これだけで学力を評価するのは適切ではない」と指摘。「これだけ大規模になると、いきなり内容を変えるのは受験生の負担も大きく難しい。各大学が入試を見直すことが重要だ」と話している。
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