2009年01月15日(木) 21時46分
消費税は政局の具か 問われる責任政党の「矜持」(産経新聞)
自民党が消費税問題で右往左往している。昨年末に閣議決定された税制抜本改革の「中期プログラム」で明記された平成23年度からの消費税率引き上げについて、今国会に提出する税制改正法案の付則に反映させることに反発が相次いでいるのだ。
発端は14日、党の政調全体会議で政府側が提示した「経済財政の中期方針」の原案にあった今後の経済見通しの試算。「景気が回復しなくても23年度から引き上げる試算だ」(茂木敏充前行政改革担当相)という反発が相次ぎ、「これから消費税増税が政局、政策の焦点になっていく」(中川秀直元幹事長)という発言まで出た。
中期プログラムによると、少子高齢化でも「堅固で持続可能な『中福祉・中負担』の社会保障制度」を構築する財源として消費税を充てるとしている。
引き上げは「経済状況を好転させることを前提」としているが、21年度から基礎年金の国庫負担率を現行の3分の1から2分の1へ引き上げのための財源(2兆3000億円相当)を投入しなければならない問題も提起している。当面の2年間は特別会計の「埋蔵金」を活用する方向だが、埋蔵金や国債、歳出削減に頼るにも限界がある。
試算が混乱を招いたことによる政府側の責任は免れない。「中福祉」の具体像がないとの不満や、麻生太郎首相の説明に丁寧さがないとの指摘も一理ある。
ただ、中期プログラムは自民党内での手続きを経た。「消費税は一切、党の平場で議論されていない」(世耕弘成元首相補佐官)というのは的外れだし、政局の具にすることは「反党行為」と言われても仕方がないだろう。
3%から5%に引き上げたときに景気が急速に悪化した実例から、衆院選を前に「有権者に説明できない」という意見もある。しかし、有権者が「安定した社会保障制度」の構築を望んでいるのも事実だ。引き上げは「悪」のような主張が通用するようでは、自民党の責任政党としての「矜持(きょうじ)」が問われてしまう。(今堀守通)
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