2009年01月15日(木) 21時45分
首相、税制関連法案への「増税」方針盛り込みを指示 (産経新聞)
麻生太郎首相は15日、中川昭一財務相を首相官邸に呼び、今月下旬に国会提出予定の税制改正法案の付則に、3年後の消費税増税方針を明記した政府の「中期プログラム」方針を盛り込むように指示した。消費税増税方針に対し、自民党内では不満が渦巻いており、税制関連法案の採決で造反が続出する事態となれば、政権は窮地に陥る。各派領袖は不満分子の鎮圧に躍起だが、付則をめぐる党内対立は政権の先行きに暗い影を落としている。
首相は中川財務相に「政府として決めたことを粛々と進めてほしい」と指示。記者団には「(中期プログラムは)党の了承を得て閣議決定されたと理解している。従って瑕疵(かし)はない。党がさらに丁寧な説明に努力するのはよいことだ」と述べ、党の了承取り付けに自信を見せた。
だが、15日朝の自民党財務金融部会・金融調査会の合同会議は異様な雰囲気に包まれた。伊吹文明前財務相ら党税制調査会の重鎮がずらりと並び、にらみを利かせたが、若手・中堅は相次いで付則への方針盛り込みに反対を表明。業を煮やした伊吹氏が「平成23年に景気が回復したら(増税を)発動する。しなければ発動しない。それだけの話だ」と説明したが、若手らの納得は得られなかった。
15日昼の各派総会でも領袖らは「緊迫した国会だからこそ政権与党の自覚は必要だ。つらい時に我慢して政権を支える使命感を持ってほしい」(古賀誠選対委員長)、「中期プログラムの表現はあらゆる角度から検討して作った道筋の記述だ」(津島雄二元厚相)−と相次いで若手・中堅を牽制(けんせい)した。
だが、最大派閥の町村派では、主流派路線の町村信孝前官房長官、反主流色を強める中川秀直元幹事長という2人の代表世話人がさや当てを演じた。
町村派総会前には中川氏の主導で町村派政策委員会が開かれ、付則への批判が噴出した。町村氏は総会で「首相が『これでいきたい』と言ったことを変えると『また、ぶれた』といわれる。その政治的なマイナス効果を考えてほしい」とクギを刺したが、中川氏は「増税の前にやるべきことがある」と譲らなかった。
付則をめぐる論議は来週以降に本格化する見通しだが、中川秀直氏は「首相には国民のための英断を期待したい。英断こそリーダーシップであり、ぶれではない」と述べ、付則の修正に応じなければ徹底抗戦する考えを表明。混乱は避けられそうにない。
こんな一触即発の情勢に公明党は苦り切っている。中期プログラムでの増税明記には本音は反対ながら「連立の信義」を優先して党内をなだめてきた経緯があるだけに自民党の内紛は迷惑千万なのだ。15日の党常任役員会などで「自民党の動きは単なる権力争いじゃないか」(幹部)と不満の声が続出。「うちが何か言えば利用され、こじれるだけだ」(別の幹部)と当面静観の構えだが、混乱が続けば連立関係まできしみかねない。
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