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2009年01月15日(木) 20時44分

裁判員制度、逆恨みへの対策は…産経新聞

 裁判員制度には、一般国民が死刑判決を下す場合の心の負担に象徴されるように、課題が数多くあります。その1つが、裁判員が逆恨みされたときの対処法です。

 年末年始、裁判所や警察の関係者とこの話をする機会を何度か持ちましたが、具体的な対策はまだ、警察当局も法曹界も見いだせていないというのが実感です。暴力団対策法の施行後、暴力団のマフィア化が進み、近年では捜査車両や刑事の写真を集めたり、警察幹部の家族構成を調べていたケースも表面化しています。

 平成7年、暴力団抗争で京都府警の警察官が射殺された事件では、組長の使用者責任を問う訴訟を起こした遺族が、組関係者からひそかにビデオ撮影をされる嫌がらせも起きています。

 過激派の関係する事件の担当裁判官に、警備がついたケースは過去にあります。ただ職業裁判官と、裁判員では人数が全く違います。埼玉・桶川のストーカー殺人の反省から、警察はストーカー相談に積極的に応じ、事件を未然に防ぐ方針を打ち出しました。でも警察が日々抱える相談や事件、事故はあまりに多く、対応は後手後手になっているようです。警察力にも、限界があるからでしょう。

 元次官ら連続殺傷の奇妙な動機のように、何を理由に逆恨みされるかわからない昨今、関係当局は一体となり、早く対策を明確にすべきではないでしょうか。(生)

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