外為法違反容疑で元副社長
一連の捜査の端緒は、今回再逮捕された元海外事業部副事業部長
高原容疑者は二〇〇七年末に退職後、特捜部に自ら出向き、会社上層部の指示を受けて海外で裏金づくりをしていた経緯を詳細に説明。タイのバンコク都庁発注工事に絡み、会社が受注を目指して現地当局者に対する贈賄工作をしていたことも明らかにした。
高原容疑者の供述を受け、特捜部は昨年六月に西松建設本社を家宅捜索。同十一月には裏金を着服したとする業務上横領容疑で高原容疑者を逮捕するとともに、政界や電力会社などに幅広い人脈を持つ元会社役員が経営に関与していたとされる会社など数十カ所を家宅捜索した。
こうした捜査と並行して、西松建設が献金先を指定した上で同社OBを代表とする政治団体から与野党首脳らに献金していたことや、青森県むつ市で計画中の使用済み核燃料中間貯蔵施設の建設候補地周辺を事実上の“ダミー会社”に買収させていた疑惑も判明。
特捜部は、タイの工事について不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)容疑での裏付け捜査を進めるとともに、裏金が政治献金や原発関連工事受注のための工作資金に使われていないかなど、解明を目指して現職役員や元幹部らの事情聴取を進めている。