金融危機のさなか、安全かつ有利にお金をためたい人にとって、インターネット銀行は気になる存在だ。最近は、住宅ローンや外貨預金などでも有利なものが登場し、メリットが多様化している。それぞれの特色を理解し、うまく活用しよう。
住宅ローン、外貨預金…利点に差ネット銀行とは、パソコンや携帯電話を使ったインターネットを通じて、残高照会や振り込みなどの金融取引が原則24時間利用できる銀行形態を指す。大手銀行などが「ネットバンキング」という形式でこうしたサービスを提供しているほか、店舗を持たない「ネット専業銀行」もある。
ファイナンシャルプランナーの大沼恵美子さんは「ネット専業銀行は、無店舗で浮いた費用を顧客に還元しています」と話す。還元策の代表例が、預金金利の高さだ=表参照=。普通預金、定期預金の金利ともに、大手銀行の2〜3倍に設定するところが目立つ。ネット専業銀行の預金も預金保険制度の対象で、元本1000万円まではその利息分も含め保護されている。
こうしたメリットをいかすには、ネット専業銀行を貯蓄専用口座のように位置付けるとよい。「特に夏と冬のボーナス時期の前後は、キャンペーンで高い金利が設定されることが多い。家計で余ったお金などを小刻みにネット専業銀行の普通口座に預けておき、キャンペーン時にまとめて定期に振り替えて」と、大沼さんはアドバイスする。
ネット専業銀行の住宅ローンは、手続きがネットと郵送だけで完結する。また、ローンの一部繰り上げ返済もユニークだ。一般的な銀行は繰り上げ返済の最低額が数十万円程度に決められ、手数料もかかるが、ソニー銀行(東京)は1万円、住信SBIネット銀行(同)は1円からネット上で返済でき、手数料はともに無料。住信SBIネットのウェブ・マーケティング部長、弘川剛さんは「預金残高に数百円単位の端数ができるたび、繰り上げ返済する人もいます」と話す。
外貨預金についても、ネット専業銀行は円と外貨を両替する際にかかる為替手数料が低い。米ドルで見ると、イーバンク銀行(東京)の片道15銭など、同1円の手数料がかかる大手銀行に比べて、かなり安い。
生活費の浮いた部分をその都度、住宅ローン返済にあてたい人は住信SBIやソニー、外貨預金のコストを下げたいならイーバンクというように、ネット専業銀行を選ぶ際には自分の目的に沿って考えると良いだろう。
なお、ネット専業銀行は通常、他銀行やコンビニエンスストアの現金自動預け払い機(ATM)で入出金を行う。出金手数料に「月3回まで無料」といった回数制限を設ける場合が多く、それ以上の利用は1回につき100〜200円程度の手数料がかかることがあるので、注意したい。
また、ネット専業銀行はIDやパスワードなどで本人確認をするため、悪用されないよう、これらを厳重に管理する必要がある。