五女(1)の点滴に腐った水を混入したとされる事件で、京都府警は14日、四女の点滴に病院の水道水を混入し死亡させたとして殺人容疑で高木香織容疑者(35)=岐阜県関市=を再逮捕した。府警の調べに、次女、三女についても、同様の混入をしたことを認める供述をしているという。
府警は岐阜県警と合同捜査本部を設置。次女と三女も四歳までに病死していることから、供述の裏付けを進めて関連を慎重に捜査している。
高木容疑者は「(子どもが病気で)大変だと言ってほしくてやった」と供述しており、四女と五女に対する殺意はいずれも否認している。専門家によると、投薬などで子どもをわざと病人に仕立て上げる特異な児童虐待とされる「代理によるミュンヒハウゼン症候群」の可能性があるという。
調べでは、高木容疑者は2006年3月から4月にかけ、岐阜大病院(岐阜市)で、生後8か月で5月に死亡した四女新奈ちゃんの点滴に、水道水を数回混入して死亡させた疑い。新奈ちゃんは肝臓障害などで同年2月から入院していた。
直接の死因は肺水腫だが、捜査本部は水道水から雑菌が体内に入ったために体調が悪化したとみている。生前の血液検査でも雑菌を数種類検出しているという。
高木容疑者は昨年12月下旬、京都大病院(京都市左京区)に入院中の五女の点滴に、スポーツドリンクを混ぜて腐らせた水を注射器で混入したとして、殺人未遂容疑で逮捕された。
◆代理によるミュンヒハウゼン症候群(MSBP) 英国の医師アッシャーが1951年、虚偽の症状や病歴をつくって治療を求め、入退院を繰り返す患者について、ほら吹きで有名だった男爵の名前にちなみ「ミュンヒハウゼン症候群」と診断し、発表した。MSBPは、親が自分ではなく子どもにこれらの症状をつくり出して「代理人」に仕立て上げることから名前が付いた。77年に英国で2例報告されている。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090114-OHT1T00245.htm