さらば、自民党—。渡辺喜美元行政改革相(56)が13日、自民党執行部に離党届を提出した。国会内で記者会見した渡辺氏は「国民と麻生政権が断絶している」と麻生太郎首相(68)に反旗を翻した。今後は志が近い国会議員や地方首長と組んで「国民会議」を近く設立する方針だ。昨年末から離党をちらつかせての“決断”に、閣僚からはブーイングも。衆院で08年度第2次補正予算案が採決された日に、ようやく結末を迎えた。
晴れ舞台だった。100人近い報道陣が詰め掛けた会見場で、渡辺氏は冒頭、父・美智雄氏の代から世話になった自民党に謝意を述べると「麻生自民党において、国民から断絶した政治が行われている。政治を国民の手に戻す」と高らかに離党を表明した。
13日午後、渡辺氏の秘書が国会内の自民党幹事長室を訪ね、離党届を提出。夕方に受理された。
8日の衆院予算委での首相の天下り問題に関する答弁が、決定打になったとしたが、昨年12月24日に民主党提出の衆院解散要求決議案に衆院本会議で造反した時には、離党の決意を固めたという。判断を長々と先送りし、離党が衆院での第2次補正予算案の採決の日になったことに「純粋に国民のことを考えた。政治のプロから見れば、理解し難いだろう」と弁明。“ヨッシー流”を貫いた。
今後はライフワークの公務員制度改革で考えが近い国会議員や地方首長らと連携し、選挙前に「国民会議」を立ち上げる方針。一方、この日、大阪府の橋下徹知事が、渡辺氏から国民会議の参加を打診され、拒否したことを明らかにした。
渡辺氏は「いろんな方と話をしている」と歯切れが悪かった。政策集団「脱藩官僚の会」の江田憲司衆院議員らが連携相手として取りざたされるが「国会議員が何人いるか問題ではない」「今、名前を出すと圧力をかけられる」と強気の構え。国民会議からの次期衆院選の候補者擁立は「運動の展開次第」と語り、先行きは不透明のようだ。
党内では渡辺氏の行動を“劇団ひとり”とやゆする声もある。この日昼、党執行部は1年生議員らを集め、国会の攻防に向け「引き締め」を行ったが、出席者らは「渡辺氏の話題は全く出なかった」(小泉チルドレンの1人)と無関心。参院幹部は「今日がピーク。もうマスコミは騒がないだろう」と切り捨てた。
渡辺氏は「選挙もせずにダラダラと政権維持をすると、自民党内から『総裁リコール』が起きるかも」と意気盛ん。無所属となり、本会議場の議席は、すぐ隣が民主党会派の位置に移動した。衆院での採決では民主党議員よりも早く退席したが、反対しなかった理由を「参院で前向きな妥協案を探るべき」と述べた。
離党劇で麻生政権のイメージダウンを誘い、“顔”も売った渡辺氏。吉と出るか、凶と出るか。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090114-OHT1T00056.htm