2009年01月14日(水) 23時21分
<ガザ侵攻>イスラエル、トンネルに集中爆撃、物資供給途絶(毎日新聞)
イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザ地区のエジプトとの境界に掘られた密輸用トンネルに対する爆撃を連日行っている。武器密輸を阻止するとしてイスラエル軍が執拗(しつよう)に続ける爆撃は、境界近くのエジプト側でも衝撃を肌で感じるほどの激しさだった。【エジプト側のラファ検問所付近(エジプト・ガザ境界)澤田克己】
13日午後、境界線から300メートルほど離れた民家の屋上に立っていると、イスラエルの戦闘機が目の前を急上昇し、直後に大きな爆発音が衝撃とともに押し寄せてきた。数百メートル先に建つモスクの向こう側から、黒煙がもうもうと上がる。同じ地点と思われる辺りへの爆撃が数分おきに繰り返された。
攻撃目標は、境界を越えたガザ側に並ぶ白いビニールハウスに偽装されたトンネルの出口だった。近所に住むマハさん(12)が、なかなか消えない黒煙を見て「ガソリン用トンネルだ」と説明してくれた。送油管を設置してあるトンネルまであるのだという。
トンネルはもともと、武器密輸用のものが少数あるだけだった。しかし、イスラム原理主義組織ハマスによる07年6月のガザ制圧を受けてイスラエルがガザを封鎖し、エジプトもこれに同調して検問所を閉めたため、生活物資用のトンネルが急増。1000本近く掘られた大小のトンネルを通じて、小麦やコメから家畜、電化製品までが密輸されるようになった。
パレスチナ難民のハッサンさん(15)は「ガザの親類に食糧や衣類を送るにもトンネルが頼りだった」と話す。エジプト側の密輸業者(30)は「唯一の生活必需品供給ルートだから、エジプト政府も黙認だった。武器用は、ごく少数だ」と主張する。
だが、空爆は、トンネルの用途など考慮しない。12月末の攻撃開始から1週間ほどは細々と続けられた生活物資の密輸も、危険すぎて全面中断に追い込まれたという。
商店を取材中、商店主の携帯電話にガザの知人から窮状を訴える電話がかかってきた。
「もう食糧がない。ほとんどの店が閉まっているし、開いていても値段が高騰していて手が届かない。子供たちが腹をすかせてるけど、何もできないんだ」
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