十四日午前十時半ごろ、東京都文京区春日一丁目の中央大後楽園キャンパスで「男性が血を流している」と警備員から一一〇番があった。男性は同大理工学部電気電子情報通信工学科の
警視庁捜査一課は殺人事件として、富坂署に捜査本部を設置。黒い服で黒いニット帽をかぶり、眼鏡をかけた三十代ぐらいの男がトイレから逃走したのを男子留学生が目撃しており、行方を捜査している。
捜査本部によると、高窪さんは一号館四階のトイレ内でうつぶせに倒れていた。争ったような形跡がなく、犯人はトイレの近くで待ち伏せするなどして、いきなり襲ったとみられる。
捜査本部は顔見知りの犯行の可能性もあるとみて、高窪さんに事件につながるようなトラブルがなかったか調べている。
また中央大キャンパスの南東約二百メートルにある東京メトロ後楽園駅のトイレ内に血痕があるのが見つかり、捜査本部は事件と何らかの関連があるとみて、血液の分析などを急いでいる。
中央大によると、高窪さんの研究室はトイレと同じ四階にあり、午前十時四十分から講義をする予定だった。一号館に受付はなく、誰でも自由に出入りできるという。
高窪さんはテレビや携帯電話に使われる電子回路の専門家で、電子情報通信学会や電気学会などに所属。父親(故人)も中央大の教授を務めた商法学者だった。
中央大後楽園キャンパスには理工系の研究室などがあり、法学部など文系学部は東京都八王子市の多摩キャンパスにある。
▽大学などで起きた襲撃事件
大学関係者や教諭らが学校内などで襲われた主な事件は次の通り。
1991年7月 「悪魔の詩」の日本語版翻訳者だった五十嵐一・筑波大助教授が、茨城県つくば市の筑波大研究棟内で首などを切られ殺害される
98・3 東京大構内で、非加熱血液製剤によるエイズウイルス(HIV)感染の危険が問題化した当時の厚生省生物製剤課長だった郡司篤晃医学部教授が、右翼団体幹部の男に顔を殴られけが
2000・11 東京都品川区の路上で、明治大学生部長で経営学部教授が4人組の男に襲われ、右足骨折の重傷
01・6 大阪教育大付属池田小に宅間守元死刑囚(執行)が包丁を持って侵入。児童8人を殺害、教師2人と児童13人に重軽傷を負わせる
05・2 大阪府寝屋川市の中央小に無職少年が侵入、男性教諭が刺され死亡